神経内科で働く魅力
神経内科病棟は本当に特殊な科です。
いわゆる難病を扱う病棟になります。
いろいろな難病があり、それぞれに症状が違ってくるので病気が診断されるとその病気の特徴をよく把握し、今どのレベルのどの状態にあるのかをスタッフみんなで把握します。
一番気をつけているのは、呼吸抑制による窒息です。
嚥下困難になりやすく、気道を塞ぐと即死に直結してしまうため、日々の観察は大変重要です。
慢性疾患であり、経過が長いのでこの職場を希望する看護師は少ないのが現状です。
正直、とても残酷な病気もあります。
全ての筋力が落ち、意思疎通は眼球だけ。
文字盤を使い、目の動きだけで文字を追うことで会話をします。
急速に機能しなくなる身体を、患者自身なかなか受け止めれず、ほぼパニックになり怒りを前面に出し始めます。
どうすることもできない苦しみ、確率は低いですが誰にでもなる可能性のある病気。
この病棟で、毎日このような患者と接していると、自分ならどうするのだろうとよく考えることもあります。
ですが私は神経内科の看護師が好きです。
好きという表現はおかしいかも知れないですが、難病という治らない病気に対する看護の大切さを必死に考えます。
意識はしっかりしているのに、自ら動けないということのもどかしさと憤り。
ですが毎日の看護の中で、信頼関係ができ始めると、ちょっとした目の感じや表情の変化で患者の意思が伝わることがあります。
その時は、本当に嬉しく患者の負担が少しでも減ってよかった、と達成感を感じることができます。
残された機能で精一杯生きようとしている患者に私はただ毎日を少しでも明るく、楽しく、光をそそげれるように、明日や明後日ではなく今を看護していくことの大切さを、この科で知りました。
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神経内科のしんどいところ
神経内科の疾患にはいろいろありますので、ある一つの病気について書きます。
病気が進行し、ほぼ意思疎通が目だけになった時、一番つらいのは、患者の意思がつたわらない場面です。
自分自身が情けなくなり、自己嫌悪におちいることもあります。
また、慢性化された日常で患者の楽しみは食事の時間になります。
それなのに、嚥下困難による誤嚥が増えると肺炎になりやすく、また窒息もあるので、気管切開の施行、しいては、呼吸器装着までいきます。
そうなることで鼻からの流動食、胃ろうからの注入など、正直、生きている意味が患者自身も分からなくなります。
家族への負担も多く疲労は限界に達します。
この科は回復期の病棟との違いがよくわかる科です。
回復への援助は、光の方へすすむことができます。
ですが、神経内科病棟はたいていの病気が回復にはむかいません。
今まで出来ていたことが、急速にできなくなり回復の見込みもない。
その苦しみに患者さんと向き合わないといけません。
なので看護師のメンタルもそれなりに忍耐力が必要となります。
神経内科に向いている人
慢性疾患の看護を得意としている人。
じっくり患者の話を聞く努力が出来る人。
自己嫌悪に陥りにくく、いろいろな工夫をしながら、患者と向き合える人。
慢性化された日常に、ユーモアや変化を与えようと出来る明るい人。
ルーチン化された業務でも確認を怠らず、丁寧に作業をこなせる人。
神経内科に向いていない人
救命救急などの急性期を得意としている人。
急変対応や医師との一刻を争うやりとりが好きな人。
慢性化された日常にやる気を失ってしまう人。
ルーチン化された業務を雑にこなしてしまう人。