副甲状腺機能低下症の原因と症状・検査・食事・遺伝はするのか

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副甲状腺機能低下症の原因

副甲状腺機能の低下は、副甲状腺ホルモンのはたらきが十分に行われないことが原因で起こり、その原因は副甲状腺ホルモンの分泌そのものが少ない場合(突発性副甲状腺機能低下症)と、ホルモンの分泌は正常で作用する骨や腎臓など(受容体)に異常がある場合(偽性副甲状腺機能低下症)と大きく2つに分かれます。

・副甲状腺ホルモンの分泌の異常(突発性副甲状腺機能低下症)
甲状腺や頸部(首)の手術などによって副甲状腺の臓器が取り除かれてしまった術後に起こることが多く、その他にも頸部の放射線治療の影響で副甲状腺に障害をもたらすこともあります。
また、免疫の異常や原因が明らかになっていないケースもあります。

・作用する受容体の異常(偽性副甲状腺機能低下症)
遺伝子の異常により、副甲状腺ホルモンに対して腎臓が作用しない先天的な病気が偽性副甲状腺機能低下症です。
この病気は低身長、丸顔、知能障害、中手指骨の短縮などの身体的特徴がみられます。

 

副甲状腺機能低下症の症状

血液中のカルシウムが減ることで、神経や筋肉の興奮が起こり、テタニーと呼ばれる痛みを伴った筋肉のけいれんや次のような身体的症状、精神的症状がみられます。

〇身体的症状
・両手の指のこわばり
・両足のこわばり
・顔のひきつれ
・のどのけいれん
・指や口まわりのしびれ
・皮膚の乾燥
・脱毛
・つめや皮膚にカビの感染症(モニリア症)
・白内障
・不整脈
・歯のエナメル質欠損 など

〇精神的症状
・情緒不安定
・不機嫌
・不安感
・いらいら など
 

副甲状腺機能低下症は遺伝するの?

遺伝子の異常で発症した副甲状腺機能低下症は、遺伝する可能性があります。

そして偽性副甲状腺機能低下症も遺伝することがあります。

しかし遺伝しても病気の症状が出ない場合もあり、もしかすると家族の中に同じ病気の人がいるかもしれません。

 

副甲状腺機能低下症の検査方法

・血液検査
副甲状腺の機能が低下すると血液中のカルシウムが減った状態の低カルシウム血症になります。
低カルシウム血症は血液検査を行い、血液中に含まれるカルシウムの量で判断することができます。
そして副甲状腺ホルモンの量を調べ、採血項目のインタクトPTHが30pgml以下なら突発性副甲状腺機能低下症、インタクトPTHが30pgml以上なら偽性副甲状腺機能低下症が疑われます。

・心電図
心電図は手や胸につけた機械が心臓の動きを読み取りグラフにしたもので、副甲状腺機能低下症の場合、正常な心電図の波形とは異なり、QTの延長がみられます。

・頭部CT、MRI
副甲状腺機能低下症の場合、大脳基底核の石灰化がみられることがあります。
X線や造影剤を使用するCTと強力な磁場や電波を使用するMRIで、体を輪切りにした断面図をみると確認することができます。

 

副甲状腺機能低下症の治療方法

副甲状腺機能低下症の原因についてはまだ分かっていないことが多くあり、効果的な予防法はありません。

低カルシウム血症の症状が出てから、症状に応じた治療を行います。

痛みを伴った筋肉のけいれんに対してグルコン酸カルシウムを注射で投与したり、血液中のカルシウム濃度を高めるために活性型ビタミンD₃製剤の内服を行ったりします。

健康な状態を保つためには、一生薬を服用して血液中のカルシウムの濃度を調整し続けなければなりません。

 

副甲状腺機能低下症を放置しているとどうなるの?

初期の段階では部分的なひきつりやこわばり程度の症状で、病院を受診せず病気が見過ごされてしまうこともあります。

副甲状腺機能低下症を放置していると、痛みを伴った筋肉のけいれんが全身にみられ、日常生活に支障をきたすようになります。

のどの筋肉がけいれんすると呼吸困難を引き起こす可能性があり、とても危険です。

さらに病気が進行すると脳症や心不全が起こることもあります。
 

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