乾癬とは
乾癬は皮膚科疾患のひとつで、境界が明瞭な(一定に縁取られた)紅斑が全身に散在する疾患です。
銀白色の粉を伴った紅斑が一般的ですが、その数や大きさ、形は様々で一様ではありません。
非常に特徴的な皮疹ですので、診断は比較的容易です。
乾癬の原因
乾癬の直接的な原因については、現在のところまだ明らかとなっていません。
ただし、乾癬には家族歴を認めることが多々あり、遺伝的素因の関連は以前から特に欧米においては強く指摘されています。
また、乾癬にはストレス・肥満・生活習慣の乱れ・薬剤など、症状の促進因子が明らかとされていますので、遺伝的素因にあわせてこのような環境因子が加わることで発症に至ると考えられています。
乾癬はどこの部位に出来ますか?
乾癬による発疹は、身体中のどこの部位にも発生することがあります。
ただし、物理的な刺激を受けやすい(衣服などにこすれやすい)場所に多く出現することが知られています。
特に膝、肘、腰などはよくみられ、頭部に関しても毛髪による刺激から発疹がよく現れます。
乾癬の市販薬って何?
市販薬のなかでも、ビタミンD含有の外用剤やステロイド系の外用剤などで、効果を示すものもありますが、乾癬の症状コントロールにおいては皮膚科専門医による管理が欠かせません。
特に症状の増悪がみられる症例においては、市販薬の薬効では対応しきれなくなることが通常です。
まずは近隣の皮膚科においてかかりつけ医をつくり、定期的な受診をすることを強くおすすめします。
改善がみられない、さらに増悪を繰り返す、などの場合は専門的治療の対象となることもあり、高度の治療が可能な地域中核病院や大学病院への紹介も、かかりつけ医を通して行われます。
乾癬の治療方法
まずは発疹の出現予防、症状の進行予防が大切です。
発疹は多くの場合でかゆみを伴いますが、強くかきこわすことでその症状はひどくなってしまいます。
したがって、あまりタイトなズボンを着用しない、入浴時には過度に強く洗わないなどの日常生活における配慮が欠かせません。
また、生活習慣の乱れは直接的に症状を悪化させますので、睡眠不足、過度の飲酒、喫煙、運動不足、偏った食事などにならないよう注意しておかなければなりません。
上記のように、乾癬の発症原因は明らかとなっていませんので、直接的な根治療法があるわけではありません。
ただし、症状を抑える治療の選択肢は近年大幅な広がりをみせていますし、実際的な治療反応は良好で、発疹が全て消えるようなケースも少ないわけではありません。
乾癬は慢性的な経過をたどり、症状の軽快と増悪を繰り返す疾患で、定まった一律の治療方針があるというよりは、個々の患者さんの症状にあわせた処方を行い、新規発疹の出現予防と既存の発疹の増悪を防ぐということになります。
通常のケースでは、ステロイド系外用薬やビタミンD3配合の外用薬を用いる、いわゆる塗り薬による症状の経過観察からはじめます。
これで症状のコントロールがつかない場合に、内服薬による治療が追加されます。
また近年では光線療法と呼ばれる紫外線療法が一般的となり、乾癬の症状コントロールに高い効果を示しています。
通常はこの、外用・内服・光線療法の3つの治療を並行して行うことが乾癬の基本的な治療スタイルということになっています。
また、これらの治療法で必要な効果が認められないという場合には、インフリキシマブをはじめとした生物学的製剤を利用した抗体療法が選択されることもあります。
乾癬を放置してるとどうなるの?
全身散在性の発疹は治療を行わない場合、新規の発疹出現・拡大・癒合を繰り返して全身の強いかゆみを持続的に引き起こすようになります。
これは患者さんの日常生活を大きく障害する要因ともなりますので、かならず定期的な通院と治療の継続を行う必要があります。
ただし、誤解を受けることも多いですが、いわゆる感染性疾患ではありませんので、症状が強くなったからといって第三者に有害となることはあり得ません。