減圧症って何?どんな症状なの?なった時の治療方法は?

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減圧症はダイビングをする人に多いと言われています。

ではどんな症状なのか自然治癒するのか気になりませんか?

減圧症とは

減圧症は、ダイビングなどの非常に限定的な環境下でみられる特殊な疾患のうちのひとつで、日常診療において頻繁にみかけるものではありません。

ダイビングをはじめとする高気圧環境下では、通常よりもはるかに多く体内に取り込まれている窒素などの生理不活性ガスが、水面への急な浮上などに伴って過飽和となり(気圧の低下によって血中に溶けきれなくなります)、血管内や組織内に気泡として生じることがあります。

ここで発生した気泡は、気圧の低下に伴いさらに膨張して種々の生体組織を傷害し、場合によっては臓器内の血管を直接塞いでしまう空気塞栓や、あるいは血栓を作り出す、などのきわめて深刻な影響を及ぼします。

また、減圧症の発生リスクは次のような場合により大きくなることが知られています。

急速浮上、深い潜水、長時間の潜水、頻回な潜水、潜水後の運動、潜水後の高所移動(山に登る、飛行機に乗るなど)、脱水、睡眠不足、疲労、ストレス、肥満、加齢、などです。

さらに、窒素は脂質に溶けやすい性質を持つため、同成分の含有が多い脳や脊髄などの中枢神経系が、特に強い影響を受けやすい臓器とされています。

減圧症の発症時期は、ダイビングでの潜水終了直後から数日以内となります。

しびれなどのいわゆる中枢神経症状は重症であればあるほど、より早期から発症することが知られています。

逆に潜水終了後3日以上という期間を経過した後に発症するケースもあり、症状の潜伏期間が長いということだけでは減圧症を除外することはできないとも言えます。

 

減圧症の症状

減圧症による症状は多彩で、上記の気泡が発生した生体内における部位に応じて大きく変わり、当然重症度も異なってきます。

四肢の関節痛や筋肉痛、しびれ感、筋力の低下、全身の倦怠感、難聴や耳鳴り、めまい、息切れ、呼吸困難、胸痛、皮膚のかゆみ、発疹、頭痛、四肢のむくみ、などが代表的なものとして挙げられます。

 

減圧症は自然治癒する?

どの程度の高圧環境下でどの程度の時間を過ごしたか、またどの程度急速な減圧を行ったかによって変わってきます。

したがって、非常に軽症のものであれば特段の臓器傷害を認めることもなく、気泡の自然排泄に至ることを見込める場合もあります。

一方で、脳・脊髄を中心とする中枢神経系へのダメージは、ほんの数分の違いが大きな影響を及ぼし、後に深刻な後遺症を招くことがあります。

なので特にダイビング後の体調不良や体調変化については軽視して様子をみるのではなく、できるだけ早期の受診をお勧めします。

また、ダイビング後の意識障害や痙攣、麻痺は緊急対応を要しますので、確認した段階で救急車の要請が必要です。
 

減圧症の治療方法

急性期の減圧症患者に対しては、循環改善(血の巡りを良くする)ことを目的として点滴補液を行うこともありますが、減圧症の治療はチャンバーと呼ばれる再圧カプセルを用いた高圧酸素療法が、有効な唯一の治療と言えます。

高圧酸素療法では100%酸素を高圧装置の中で吸わせ、できるだけ多くの酸素を体内の各組織に送り込むことで、臓器・組織の回復を図る治療になります。

いわゆる一般的治療の範疇とは言えませんので、設備は大学病院レベルの高度医療機関や、地域の中核病院、減圧症を多く取り扱う医療機関などに限定されます。

ダイビング後24時間の飛行機搭乗や登山を避ける、水面浮上前の安全停止などの予防措置が肝要ですが、不幸にして減圧症を疑う症例に出くわしてしまった際は、常圧で構いませんので、純酸素を当てがって呼吸させることが推奨されています。

これにより、血管閉塞に起因する低酸素性の障害を、ある程度回避できる可能性があります。

純酸素での呼吸を促すのにあわせて、できるだけ早急の医療機関受診に結びつけることが最も大切なことです。

 

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