知らなきゃ怖い肺気腫の原因や症状・検査、治療方法と予後

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肺気腫の原因

喫煙が発症の最も重要な危険因子であり、日本人のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の90%は喫煙者です。

喫煙の他に、職業上の粉塵や大気汚染、受動喫煙、感染症などが外因性危険因子となります。

また、喫煙の影響を受けやすい人とそうでない人が存在すると考えられており、この個人差を規定するものが遺伝素因などの内因性危険因子と言われています。

 

肺気腫の症状

慢性の咳や痰、あるいは体動時の呼吸困難がみられます。

なかでも特徴的な症状は、体動時の呼吸困難(息切れ)であり、持続性と進行性です。

進行が緩やかなため気づきにくく、風邪などをきっかけに初めて自覚することもあります。

進行すると体重減少や食欲不振が出現するとが多いです。

身体所見として特徴的なのは、呼気時に口笛を吹くときのように口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す、口すぼめ呼吸です。

このような呼吸をする原因は、ゆっくりと息を吐き出すことで気道内圧を高め、少しでも多くの息を呼出させようとするために起こります。
 

肺気腫の検査方法

検査方法の流れとして、問診→呼吸機能検査→画像検査を行い確定診断をします。

気道閉塞を最も敏感かつ簡便に検出できる検査として、スパイロメータと言われるものがあります。

この検査によって測定できる換気機能の指標として最も重要なのは、肺活量と一秒率と言われるものです。

・肺活量
最大限に息を吸った状態から完全に息を吐ききるまでに呼出できる空気の量を肺活量といいます。
この肺活量とさが80%未満の場合には拘束性換気障害があると診断できます。
喘息や慢性閉塞性肺疾患などの気道疾患患者では気流制限があっても、ゆっくりと息を吐けば十分な換気が可能であるため肺活量は一般に正常です。

・一秒率
最大限息を吸った後、肺活量の測定と異なり出来るだけ勢いよく息を吐いてもらいます。
このときの最初こ1秒間に吐き出すことができた空気の量を一秒率といいます。
一秒率は肺活量と異なり呼気の流速をみているので、気流制限の指標として用いられることが多いです。
この一秒率が70%未満の場合に閉塞性換気障害があると診断できます。

 

肺気腫の治療方法

・禁煙
禁煙は発症のリスクを低下させるだけでなく、すでに発症した患者の呼吸機能低下速度や死亡率を減少させる、最も有効かつ経済的な方法と言われています。
また、喫煙習慣をニコチン依存という疾患と考えて、禁煙を治療法と認識することが重要です。喫煙に伴う慢性の咳や痰、息切れがけしてささいな症状ではないこと、禁煙に匹敵する薬物療法はないこと、喫煙は嗜好品ではなく依存性薬物ということを理解することが大切になります。
禁煙治療は『行動療法』と『薬物療法』を組み合わせて行いますが、禁煙を継続しやすい環境作りも大切です。
途中で失敗しても、禁煙を繰り返し行っていきましょう。

・薬物療法
代表的なのは気管支拡張薬です。
患者の症状を軽減し、運動耐容能を改善して生活の質を高めます。
気管支拡張薬には3種類あり、病状にに応じてそれぞれの薬剤を用います。

・リハビリテーション
日常生活を心身ともに良好な状態に保つように、多職種専門職が協力して、患者教育や栄養指導、呼吸理学療法や運動療法を含めたリハビリテーションを行います。運動療法は薬物療法と併用して行うことで、運動耐用容能、生活の質の改善が期待できます。

・在宅酸素療法(HOT)
かつては慢性呼吸不全に陥ると長期入院を余儀なくされることが多かったですが、この在宅酸素療法の普及により約13万人の患者が自宅療法、あるいは職場復帰が可能となりました。
在宅酸素療法が導入された場合には、月に1回外来に通院して酸素飽和度や動脈血ガス分析を行い、酸素流量の調整を行う必要があります。
酸素供給源には、酸素濃縮器、液化酸素、酸素ボンベの3つがあり、このうち酸素ボンベは外出用に用いられますが、容量が小さいため長期使用には適していません。
そこでだいたいは、酸素濃縮器か液化酸素が用いられます。

 

肺気腫の予後

典型的な症状が現れにくいために、治療が遅くなることもあります。

放置すると重症化し、肺だけでなく心臓にも負担がかかり心不全を合併します。

また、高齢になると免疫力の低下に伴いちょっとした風邪やウイルス感染、インフルエンザを引き金に状態が増悪します。

手洗いうがいや、ワクチン接種、適度な運動を心がけましょう。
 

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