ピロリ菌害の中にいる人といない人がいます。
ではいつから胃の中にいるのでしょうか?
空気感染したりうつったりするものなのでしょうか?
さらにピロリ菌を放置しているのかどうなるのか…
ご説明します。
目次
ピロリ菌の原因(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎とは、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が胃に感染することが原因で起きる病気です。
通常、胃の中には強い酸(胃酸)があるため、細菌などのバイ菌は生きていくことができません。
しかし、ピロリ菌は特殊な分泌物を産生して、自分のまわりの酸を中和する(和らげる)ことで胃の中でも生存することが出来ます。
ひとたびピロリ菌が胃に感染すると、ピロリ菌が産生する分泌物などが原因で胃の粘膜は徐々に傷害されていきます。
その結果、人によっては胃炎から胃潰瘍や胃ポリープ、胃の粘膜が薄くなってしまう萎縮性胃炎など、様々な病気を引き起こす可能性があります。
ピロリ菌がいたらどのような症状がでるのか
ピロリ菌に感染しても、感染したばかりの頃は特に症状もなく経過することが多く、ほとんどの人は自分がピロリ菌に感染していることを知らないまま生活しています。
しかし、感染したことに気づかないまま10~20年放置していると、胃の炎症が慢性化してしまうことで胃の粘膜が萎縮し、胃酸の分泌も減少していきます。
その結果、胃の痛み(みぞおちあたりの痛み)や吐き気、胃もたれといった症状が現れます。
また、胸焼けや胃の不快感や食欲不振といった症状もおきることがあります。
ただし、これらの症状は胃に炎症が起きている場合に限らず、胃潰瘍や胃がんでも同じような症状が見られることがあります。
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ピロリ菌はうつるのか
ピロリ菌は大人になってからはうつることはないといわれています。
ピロリ菌に初めて感染するのは、胃の機能が未熟で胃酸の分泌が少なく、免疫力も低い乳幼児期であると考えられています。
上下水道が発達していない時代は、ピロリ菌に汚染されている井戸水等の水を飲むことでピロリ菌に感染していた可能性が高く、その時代に幼少期を過ごした高齢者ほどピロリ菌に感染している人が多い傾向があります。
水道が発達している現代では、ピロリ菌に感染している親から子へ口うつしで食事が与えられることにより子供が感染する可能性が高いといわれています。
そのため、乳幼児にご飯を与える際は、口移しで与えないこと、親が使った箸やスプーンで与えないようにすることが重要です。
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ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌の検査は胃カメラを使って行う方法と使わない方法に分かれます。
胃カメラを使って行う検査には3つの方法がありますが、どれも胃の粘膜や胃の組織を一部採集することで検査を行います。
・迅速ウレアーゼ法
ピロリ菌が胃酸を和らげる分泌物を産生する性質を利用したもので、採集した検体(胃の粘膜や組織)に特殊な検査薬をかけて、検査薬の色の変化(pHの変化)を見ることで胃の中にピロリ菌がいるかどうかを見る検査です。
・鏡検法
顕微鏡で採集した検体にピロリ菌がいるかどうかを観察する検査です。
・培養法
採集した検体をすりつぶし、それをピロリ菌が生きやすい環境下で5~7日間培養することで、培養した検体にピロリ菌がいるかどうかを判定します。
胃カメラを使わない検査方法は
・尿素呼気検査
・抗体検査
・便中抗原測定検査
の3つに分かれます。
・尿素呼気検査
ピロリ菌が産生する特殊な分泌物は胃の中の尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する作用があります。
尿素呼気検査はこのピロリ菌の性質を利用したもので、検査前には患者さんに尿素(13C-尿素)を服用してもらいます。
そして、尿素を服用する前とした後で口から吐いた息の成分に違いがあるかどうかを検査します。
もし胃の中にピロリ菌がいれば、服用した尿素(13C-尿素)をピロリ菌が二酸化炭素(13CO2)とアンモニアに分解するので、
服用後に吐いた息の方が服用前に吐いた息よりも二酸化炭素(13CO2)が多く排出されています。
このように、尿素呼気検査は吐いた息の二酸化炭素濃度でピロリ菌がいるかいないかを判定する検査です。
・抗体検査
ピロリ菌に感染している人は、体が菌に対抗しようとして抗体を作ります。
抗体検査はこの抗体が体にあるかどうかを血液検査や尿検査で調べます。
・便中抗原測定検査
便中にピロリ菌がいるかどうかを検査することで、ピロリ菌に感染していないかをどうかを調べます。
ピロリ菌検査キット
検査キットは自宅でカンタンに匿名で受けることができます。
GME医学検査研究所は性病・がん検査キットを取り扱っています。
ピロリ菌検査は胃がん予防検査キットの項目に入っています。
詳しくはホームページをご覧ください。
ピロリ菌の除菌方法
ピロリ菌の除菌は胃酸の分泌を抑制する薬と2種類の抗菌薬内服することで行います。
まず、この3つの薬を1週間内服します。
そして、除菌療法後には本当にピロリ菌を除菌で来ているかどうか治療の成果を確かめることが大切です。
そのため、除菌療法後には再度ピロリ菌の判定検査を行います。
1回の除菌療法成功率は70~80%位ありますが、もし1回でピロリ菌を除菌しきれなければ、
2種類の抗菌剤のうち1種類のみ抗菌薬の種類を変えて再び合計3剤を内服します。
除菌療法を2回行った場合の除菌成功率は約90%でほとんどの人が胃の中にいるピロリ菌を除菌することが出来ます。
ただし、除菌に成功したからといって胃がんなどの病気にならないということではないですので、定期的に胃の検査を受けることは重要です。
ピロリ菌がいるのに放置しているとどうなるか
ピロリ菌に感染している期間が長いと、慢性的な胃炎が続き、萎縮性胃炎という状態になります。
萎縮性胃炎とは、その名の通り胃の粘膜が萎縮してしまい、厚みがなくなってしまった状態のことをいいます。
萎縮性胃炎は前がん状態ともいわれ、胃がんに発展する可能性がります。
ピロリ菌陽性の場合、1年間に0.4%の頻度で胃がんが発生する可能性があるといわれており、
ピロリ菌に感染しているのに放置したまま過ごしていると、将来的に胃がんを発症する可能性があります。