動悸とは
本来は自覚することのない、自分自身の心臓の拍動を自覚することを指します。
動悸の原因は様々ですが、症状そのものは非常に一般的で、全年代において認められるものです。
動悸の原因
もっとも高頻度にみられる動悸は、洞性頻脈と呼ばれるもので、運動や感情的・身体的ストレスに伴う一過性の強く早い心臓の鼓動です。
本来的な心臓の性質としての反応なので、ほとんどの場合で病的な意義を持っていないため、治療対象となることもまれです。
ただし、低血圧や脱水症状に伴い、この洞性頻脈がみられることもありますので全身状態には注意が必要です。
次に多くみられるものが不整脈に伴う動悸となります。
原因となる不整脈は数多くありますが、代表的なものは、上室性期外収縮、心室性期外収縮、発作性上室頻拍(PSVT)、心房細動、心房粗動、心室頻拍などです。
期外収縮以外の上記不整脈に伴う動悸では、非常に早い心臓の鼓動を自覚することになります。
逆に徐脈とよばれる遅い拍動によって動悸を自覚することは、あまり一般的ではありません。
動悸ってどんな症状が出るの?
動悸症状が強くなる場合、胸部不快感やふらつきを自覚するようになります。
さらに増悪すると心臓合併症として特に高齢者において、失神や胸痛、心臓発作に至ることもあります。
このような場合、多くのケースで狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患を背景に持っており、心臓を栄養する血管そのものの血流が乏しいという素因を持っています。
したがって、このような疾患をお持ちの方で強い動悸感を繰り返す時は、かならず早期の受診が必要です。
また、心室頻拍をはじめとした一部の不整脈には、心停止に至る強い頻拍発作を示すことがありますので、こちらも十分な注意が必要です。
動悸がするときの対処法ってあるの?
運動後など明白な原因がある場合を除き、動悸感に加えてふらつきや失神、胸痛、息切れ、過度の頻脈(目安として1分間に120回以上の脈)がみられた際はかならず医療機関を受診するようにしてください。
受診先は一般内科あるいは循環器内科を標榜している医院が好ましいです。
上記症状がひどく継続する、または動けないといった時は救急車を呼ぶことも躊躇する必要はありません。
一方で、繰り返す動悸でもなく、心臓の基礎疾患もなく、重症感を伴わない一過性のもの(すぐに軽快し再発しない)については過度に心配する必要はありません。
安静後、深呼吸をして症状の経過をみてください。
十分に安静を取っているにも関わらずどんどん増悪する動悸は、生理的反応をこえた何らかの疾患が隠れている可能性がありますので、こちらも受診を要します。
動悸に効くツボってあるの?
特に発作性上室性頻拍に伴う動悸感では、息こらえや冷水を飲むなどで軽快することが多くなります。
過去には動悸止めのツボとして、眼球圧迫が行われていたこともありましたが、網膜剥離の危険性が伴うことなどから近年ではこの処置は医師が行うことも一般的にはすすめられていません。
逆に、安静・息こらえ・冷水を飲む、などの対処で改善しない動悸は、受診を要すると考えても良いことになります。
動悸は一時的なもの?放置しているとどうなるの?
多くは生理的反応に伴う無害性の動悸です。
ただし上記で述べたような不整脈や心臓の基礎疾患をお持ちの方については、動悸感についても定期的な受診と経過観察を要します。
繰り返す動悸を放置することは、心臓疾患の素因を見逃すことにつながり、深刻な結果を招き得ます。
重篤な症状を伴っているような動悸を放置することは一般的に考えにくいものですが、自覚のある方はかならず医療機関に一度相談しておくことが大切です。