チック障害とは
チック障害は、不随意に(患者本人の意思とは無関係に)体の一部が突如反射性に動いたり、声が出るといった症状を呈する疾患で多くは小児から青年期に認められます。
症状のコントロールは難しい場合が多く、大きな精神的ストレスにつながります。
チック障害の原因
チック障害の明確な原因(脳の器質的変化など)はまだ確認されていませんが、種々の増悪因子は明らかにされています。
不安や興奮といった情動面や疲労の蓄積が症状の発現頻度と重症化を促します。
したがって感情の高ぶりのない、落ち着いた環境下ではチック症状は出ないと訴える患者が多いことが特徴です。
また、家族歴(遺伝的要因)は認められており、チック障害が家族内に集積していることも珍しくありません。
さらに近年の医学的研究によっては、チック障害をもつ方の遺伝子変異についても同定されつつあります。
そのほかに、周産期関連のイベント、周産期合併症や低出生体重、母体の喫煙などがチック障害のリスクとしても報告されています。
チック障害の症状
チック障害では、突発的・反射的に体の一部が動いたり、脈絡に関連しない(意味をなさないものを含む)発声を繰り返します。
体の動きに関わるチックを運動性チック、発声に関わるチックを音声チックと呼んでいます。
運動性チックとしては、顔を強くしかめる、首を上下または左右に振る、周囲のものをたたく・ける、着座状態から飛び上がる、などが一般的によく認められています。
音声チックでは、軽症においては意味をなさない発声(「あー」、「おー」など)や咳払い、鼻すすりなどですが、重症児においては明らかに場にふさわしくない汚言や反響言語(人の発言をまねる)がみられるようになります。
特に汚言や反響言語は、学校の先生や上司、親、友人などに対してもしばしば行われるため、疾患理解がない環境においては非常に反社会的で粗野なメンタリティを持つ人として理解されてしまうことが珍しくありません。
当然、本人には他人を罵倒したりこき下ろすような意図はないことがほとんどですので、疾患の特性を理解してもらう必要があります。
チック障害は発達障害なの?
成人におけるチック障害は、発達障害を原因としているという説があります。
これは発達障害においては、ある分野で非常に秀でた才能を有する者がしばしば散見されるのと同じく、チック障害の方にも同等の傾向が認められるという事実も後押ししているようです。
ただし、チック障害患者が全例で発達障害を有しているわけではなく確信的なことを述べるには、まだ時期尚早と言わざるを得ません。
チック障害の治療方法
精神療法や行動療法といった精神神経的アプローチを探索的に行い、時として効果を示します。
一方で、抗不安薬をはじめとした抗精神病薬などの薬物治療については奏功するものはいまだ確認されておりません。
チック障害は、症状自体が次第に消失することも多い一方、慢性化した場合、特に成人期においても症状が残存した場合は治療が非常に困難となることがあります。
軽度のチック症状は家族、または学校環境においても十分な理解を持ち、症状発現をとがめない(指摘しない)ことが大切です。
症状の指摘によって、患者本人がこのような症状を強く意識することは大きなストレスにつながり、症状の増悪に至ります。
また、看過できない汚言や反響言語が継続してみられる場合は放置せず、精神科または小児科を受診してください。
適切な医療介入に加え、患児との適切な関わり方などについても助言を得ることができます。
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