疥癬とは
疥癬とは、ヒゼンダニという小さなダニが人の皮膚に寄生して起こるかゆみを伴う皮膚病の一種です。
疥癬には大きく分けて2種類の病態があります。
1つめは、通常疥癬と言われるもの。
2つめは、角化型疥癬と呼ばれるもので発生率は低いですが強力な感染力を持っています。
疥癬での症状
皮膚症状としては、ヒゼンダニが体に寄生すると、まず虫に食われたかのような赤いボツボツのようなものが現われます(丘疹といいます)
この丘疹が一か所ではなく、数か所に見られるようであれば疥癬の可能性が高くなります。
この丘疹はわきの下や胸部、おなか、性器の周辺、太ももなどに発生しやすくなっています。
もう一つ代表的な症状としては、皮膚が固く盛り上がったしこりのようなものができます。(結節といいます)
結節はおもに陰嚢などの性器部分に見られます。
ヒゼンダニが体を這うことでできる疥癬トンネルという白い線上の筋のようなものも疥癬の皮膚症状として特徴的なものの1つです。
指の間や手のひら、手首、足などによく見られます
通常疥癬の場合は顔や頭には症状は出ませんが、角化型疥癬の場合は全身くまなく皮膚症状が見られます。
身体症状としては皮膚の痒みですが、高齢者や角化型疥癬の場合、かゆみが出ない場合があります。
皮膚の痒みは日中よりも夜間に強くなることが特徴で、痒みで夜寝られなくなることもあります。
疥癬の感染経路
・通常疥癬の場合
ヒゼンダニの数も数十匹程度で感染力もそれほど強くありませんが、人の免疫力の関係なしで感染してしまう疥癬です。
長い時間で人の肌と肌、手と手などが直接触れることでヒゼンダニが移動して感染するので、短期間触れるだけでは感染しないことが多い疥癬です。
まれではありますが、感染している人の寝具や衣類などを交換しないで他の人が使った場合でも感染することがあります。
角化型疥癬の場合
ヒゼンダニの数も通常疥癬よりも数百倍ものヒゼンダニが存在しており、感染力がものすごく強いために短時間の接触や感染している人の寝具や衣類を使った場合でも容易に感染してしまいます。
人の免疫力が落ちている時には、さらに感染しやすくなっており、特に高齢者であって感染に対する抵抗力が落ちている方にはものすごい勢いでたくさんの方に感染してしまいます。
また、剥がれおちた角質にも多数のヒゼンダニが存在しており、それが体に付着することでも感染の原因となることがあります。
疥癬は自然治癒するの?
薬などを使わずに無治療で完全治癒するには6か月ほどかかると言われているデータがあります。
しかしながら、高齢の方で体の抵抗力が落ちている人などは、通常の治療を行っても治癒が遅れる場合があるので、自然治癒で治そうとするのは困難かと思われます。
病院で診察・治療を行ったほうが早期に治療できることは間違いありません。
疥癬の治療方法
治療となる方の対象は、ヒゼンダニが検出されたもしくはヒゼンダニが検出された方に接触する機会があり症状が出ている方です。
治療の方法としては主に2つあります。
・外用療法
スミスリンローションやオイラックスクリームなどと呼ばれている塗り薬を使用します。
塗り薬は正常な所も含めて塗り残しがないように首から足にかけて全身にくまなく塗らなければいけません。
特に手や指の間、足、足の指の間、外陰部など念入りに塗ることがポイントとなります。
・内服療法
代表的な飲み薬ですと、ストロメクトール錠を1日に1回または2回服用します。
皮膚の痒みを伴う場合においては、抗ヒスタミン薬と呼ばれるかゆみ止めが同時に処方されることが多いです。
疥癬は早期に診断し、治療することがとても重要です。
家族と暮らしている、医療施設や高齢者施設などで集団生活しているなどの方の場合は、他の方に感染しないように予防していくことがとても大切となります。
そのためには、早期に疥癬であるという診断を受けることが必要です。
それらしき症状が現れた時には、早期に皮膚科などに受診することを勧めます。