甲状腺クリーゼとは・原因と症状・致死率・治療方法

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甲状腺クリーゼとは

甲状腺クリーゼとは、甲状腺機能亢進症の患者において、急激な血中甲状腺ホルモン量の上昇によって引き起こされる深刻な病態を指します。

治療介入のない症例での発症が多いことや、精神症状を伴うために初期の誤診を生みやすいことも特徴です。

 

甲状腺クリーゼの原因

正確な発症機序は明らかとなっていませんが、元来甲状腺機能亢進症をはじめとした甲状腺疾患(亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎・甲状腺腫瘍など)を持っている患者において、なんらかの強い身体的・精神的ストレスが加わることで、甲状腺ホルモンのコントロールが大きく破綻し、多臓器障害が引き起こされます。

甲状腺クリーゼを誘発するストレスの原因としては、感染症や手術、妊娠、外傷、甲状腺疾患治療薬の大量内服・中断などが主として挙げられます。

 

甲状腺クリーゼの症状

甲状腺クリーゼでは38度を超える発熱や、頻脈、不整脈、心不全、不穏などの症状を呈し、ときにけいれんや意識障害を示すこともあります。

過剰なホルモンが分泌され、血中濃度が高まると本来は各臓器の代償機能によって臓器障害は避けられますが、甲状腺クリーゼではこの代償機能が破綻しており、全身種々の臓器で深刻な障害と機能低下を認めます。

また、甲状腺クリーゼでは突然死をきたすこともあり症状発現後、早急な治療が必要とされる甲状腺の緊急疾患です。

 

甲状腺クリーゼの致死率

甲状腺クリーゼを一旦発症すると、その死亡率は10%を越えるとされています。

甲状腺に基礎疾患を持つ患者では、治療の自己中断が甲状腺クリーゼ発症の主要因ですので、そういったことがないように普段から注意が必要です。

また、甲状腺疾患を持つ患者が突然おかしな言動を示すようになったり幻覚・妄想を訴えるようになった際は、甲状腺クリーゼによる中枢神経症状発現の可能性がありますので周囲の人々の気付きも重要となります。
 

甲状腺クリーゼの治療方法

甲状腺クリーゼは全身管理を要する緊急疾患のひとつですので、一般的には集中治療室(ICU)への入院の上で治療が開始されることになります。

強い発熱を伴いますので、全身の冷却(クーリング)を図りながら電解質成分を含む点滴補液によって脱水を補正します。

感染症を契機として発症した甲状腺クリーゼに対しては抗生剤が併用され、強い心不全状態にある場合には利尿薬が使われることもあります。

当然抗甲状腺薬は定期的に投与されます。

また甲状腺クリーゼでは高頻度に副腎クリーゼを合併しており、副腎皮質ステロイドの投与も並行して行われます。

甲状腺ホルモン量が十分に下がらない場合は血液透析を行い、それでも改善がみられない際には甲状腺の全摘手術も検討されます。
 

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