右脚ブロックとは
右脚ブロックは心電図異常のひとつです。
心臓収縮時に電気刺激が心臓の右側の部屋と左側の部屋に分かれて伝えられると考えますが、右脚ブロックではこの右側の電気刺激伝導に障害があり、電気刺激の伝わり方に左右差が生まれているものです。
右脚ブロックの原因
右脚ブロックによる心臓の右側の部屋への伝導障害は、高血圧によって引き起こされるものが比較的高頻度にみられます。
また、一部の心臓疾患や不整脈に伴い右脚ブロックを呈しているケースもあります。
しかし、ほとんどの場合で右脚ブロックはなんらかの基礎疾患を有しないにも関わらずこのような所見を示しており、したがってほとんど心臓の特性と言って差し支えないことも少なくありません。
右脚ブロックってどんな症状がでるの?
右脚ブロックがあると、電気刺激伝導の遅れが右心室に起こりやすく、結果として左心室に比べて心臓収縮のタイミングが遅くなってしまいます。
ただし、これはほとんど一瞬のことであるばかりか左心室による収縮が右心室にまで伝わるために、心収縮に伴う血液の送り出しには問題がでることがほとんどありません。
したがって、右脚ブロック単独を所見として持っている方がなんらかの臨床症状を呈することはほとんどありません。
一方で、強い動悸感や胸部の重苦しさを自覚しているようなケースでは、他の背景疾患をあわせもった上で右脚ブロックを示している可能性がありますので、循環器内科の受診が必要です。
右脚ブロックを放置しているとどうなるの?
右脚ブロックが全例で、深刻な背景疾患の存在を意味しているわけではありません。
現に、一般健常者に対する健康診断での心電図検査では、年代に関わらず頻繁に右脚ブロックを認めます。
したがって、ほとんどの場合で右脚ブロックを放置したからといってそれが致命的となることはありません。
ただし、これはどんな医学的所見にも言えることですが、原因のないところに所見は生れません。
したがって、それが右脚ブロックといった比較的重篤でない所見であったとしても、それを持っていることを知っておき、なんらかの理由で病院を受診した際は医師にその事実を伝えることが大切です。
右脚ブロックを指摘された方のほとんどが健康診断結果でのことかと考えられますので健診結果は捨てずに残しておき、内科受診の際などに担当医師に渡すようしましょう。
右脚ブロックの治療方法
右脚ブロックという所見単独に対しては薬物や手術を含むなんからかの治療を行うことはほぼありません。
ただし、心臓合併症の存在は非常に大きな問題になりかねませんので、普段から動悸・胸痛・胸部違和感・息切れなどが出ていないかにはよく注意しておき、症状を自覚している際はかかりつけの循環器内科を早めに受診するようにして下さい。
また似たような診断名に「左脚ブロック」というものがありますが、こちらは無症状であっても精査・治療の対象となることがありますので右脚ブロックと混同し放置してしまうことがないようにしましょう。