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ハチに刺された時の対処法
ハチの刺傷によるハチ毒が問題となるのは、特定の種類のハチに限られており実はすべてのハチ刺傷が治療を要するというわけはありません。
ただし、これを一般の方が判断することは非常に難しいのでハチに刺された際は全例で医療機関を受診しなければならないということになります。
現場においてはまず目視で創傷部にハチの針が残っているかを確認します。
この際、針をつまんでしまうとハチ毒液が注入されてしまいますので、指先などで弾き飛ばすようにして下さい。
また、患者が小児である場合は、刺されてすぐに創傷部をかきむしるなどして増悪させることがありますので、ハチ刺傷が疑われた際は「傷口を決して触らないように」強く促して下さい。
上記の残存針に対する処置は保護者が行ってください。
創傷部は抗ヒスタミン剤入りの軟膏を塗布した上で、冷水で冷やすことが重要です。
こういった薬剤の持ち合わせがない場合は、患部を冷やすだけでも構いませんのでそのまま医療機関に向かって下さい。
全身が赤く腫れ上がる、呼吸苦がある、意識がなくなる、などの全身症状を認めるときは緊急の治療を要しますので躊躇せず救急車を要請して下さい。
なお、ハチに刺されてからの経過時間は治療において重要な情報となりますので、事前に確認しておき受診先の医療スタッフに伝えるようにして下さい。
ハチに刺された市販薬は何を使えばいいの?
患部の腫れなど局所症状にとどまっている場合も、できるだけ医療機関を受診することをお勧めします。
ですが、なんらかの理由で(海外旅行中など)市販薬で対応する必要があるのであれば、抗ヒスタミン剤あるいはステロイド含有の外用剤を購入し患部に塗布した上で、アイスパックなどで冷却して下さい。
ただし刺傷部が顔面である場合は、ステロイド塗布によって酒さ様皮膚炎という強い赤みを伴った副作用を起こすことがありますので、一定以上の強さのステロイド外用剤を用いることはできません。
判断がつかない場合は、抗ヒスタミン系薬剤にとどめておくことが好ましいと言えます。
重ねますが、ハチ刺傷によって全身症状がみられる際は市販薬での対応は全くできません。
ハチに刺されたらどの病院に行けばいいの?
基本的なハチ刺傷の対応は、一般的な内科クリニックで対応が可能です。
一方で全身症状などが強く、呼吸管理を要する際などはそれなりの医療設備が必要ということになります。
まずは患者の状態をよく観察し、局所(刺傷部)に症状はとどまっているのか、あるいは全身症状におよんでいるのかを確認することが大切です。
後者であれば救急車要請後、適切な高機能病院に搬送されるということになります。
なお、眼球を直接刺されてしまった場合は、ステロイド眼注が必要になることがあります。
近くに眼科クリニックなどがあるのであれば対応可能か電話で相談してみることも有効です。
近隣の眼科クリニックで対応が難しい場合は救急科外来を受診して下さい。
ハチに刺された時はお風呂はどうすればいい?
刺傷部は清潔を保ち、二次的感染を避けることが大切です。
刺傷後の急性期はお風呂は避け、必要があれば流水で流す程度にとどめておくことが無難です。
温水で温めることは炎症を助長しますので、積極的にはすすめられません。
ハチに刺されたら(2度目)どうなるの?
一般的にハチ(特にスズメバチ)に2度刺されると危険であると信じられていますが、これは半分正解で半分は不正解です。
ハチ毒によって危険な全身症状(アナフィラキシー)を呈するのは、ハチ刺傷が1回目であっても十分に起こり得ます。
つまり、もともとハチ毒アレルギーを含むアレルギー体質であった場合です。
これとは別に、元来ハチ毒アレルギーも持っていなかった方でも、複数回の刺傷を経てハチ毒アレルギーに至ることもあります。
いずれの場合でもアナフィラキシーは生死に関わる状況となりますので、ハチ刺傷には十分な注意が必要です。
事前検査・診察などを経て、アナフィラキシー対策の薬を持ち歩くことも選択肢ではありますが、何よりハチの群生地や環境に近づかないように予防しておくことが大切です。