てんかんとは・原因と症状・遺伝・検査・運転・治るのか

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てんかんとは

人のあらゆる活動は脳の神経細胞のはたらきが元となっていますが、この神経細胞が何らかの原因によって過剰なはたらきを起こすようになり、繰り返すけいれん発作として現れるものを「てんかん」といいます。

 

てんかんの原因

てんかんは大きく、症候性てんかんと特発生てんかんに分かれます。

症候性てんかんは出生時の低酸素や仮死状態に伴う脳損傷、あるいは肺炎や髄膜炎、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、外傷性脳損傷など、ある種の脳障害を原因として発症するようになったてんかんを指します。

一方で、特発生てんかんはそれ以外、つまり明らかな脳損傷を認めないにも関わらず、異常な神経細胞の働きを起こしてしまうような、原因が不明のてんかんを指すものをいいます。

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てんかんの症状

大脳神経細胞のはたらきは本来、きわめて規則的で正しいリズムを有しています。

これが乱れ、脳に「電気的な嵐」が起こるようになるてんかんでは、繰り返す激しいけいれんを基本的な症状としています。

特に全般発作と呼ばれる脳全体の電気的異常においては、発作の当初から意識がなくなるので発作の発現自体を患者本人が覚えていないということも一般的です。

単純欠神発作では数十秒程度までの比較的短時間に意識消失し、すぐに回復するというものを示します。

この種のてんかん発作では明らかなけいれんを伴いません。

また脱力発作のみ、つまり突然全身の力が抜けたように崩れ落ちる、という症状を起こすこともあります。

反対に強直生間代けいれんにおいては、意識消失とともに全身の筋肉を強く硬直させ、激しくけいれんを起こします。

この種のけいれんには、白目をむく、泡をふくなどの随伴症状が伴っていることもあります。

 

てんかんは遺伝する?

多くのてんかんに遺伝性は認められていません。

したがって、てんかん患者がある家系に集積しているということはあまり一般的ではありません。

また一部の治療反応性の良い(良性の)てんかんに明確な遺伝性が近年見つかっていますが、これもさほど頻度が高いものではありません。

 

てんかんの検査方法

てんかんの診断において最も重要となるのが脳波検査です。

これは頭に電極を取り付けて、脳神経細胞の電気活動を直接観察するもので、てんかんの診断そのものに加え発作型の判定にも用いられています。

基本的に非侵襲的検査(痛みを伴わない検査)になりますので、患者の身体的負担が必要以上に大きくなることはありません。

また上記のように、症候性てんかんでは何らかの脳の器質的変化を認めることになりますので、原因検索のためにCTやMRIなどの画像検査が用いられることも一般的です。
 

てんかん発作は治る?

症候性てんかんなどでは根本原因の治療によって、てんかん発作が根治することもあります。

一方で、その他のてんかんでは根治は強くは望めないということになります。

ですが、一般的な治療により症状コントロール自体はほとんどの症例で十分に行うことができます。

つまり、定期的な内服によって脳神経細胞の過剰な電気活動を抑え込み、けいれん発作などを全く起こさない状態で日常生活を送ることができるようになるということです。

過度の緊張やストレス、光刺激、アルコールなどが発作の誘因となり得ることは知られていますので、てんかんの診断をお持ちの方はこれらに十分注意する必要があります。

特に長時間のテレビゲームや過度の飲酒は避けるようにすべきです。

20%程度のてんかん患者においては治療抵抗性(難治性)となり、高機能病院などでの集約的治療の対象となることもあります。

 

てんかん発作が起きた時の対処法

てんかん発作の本人による対策は予防以外にありません。

したがって、てんかん発作を起こし得る場合、周囲の人がそのことを理解し対処方法を知っていることが欠かせません。

学校や職場には、できるだけその可能性を伝え事前に対応を知っておいてもらうことが望ましいと言えます。

突然倒れ、けいれんを起こす人をみると誰しも慌ててしまいますが落ち着いて行動することがまず大切になります。

けいれん発作自体は見た目に激烈に感じられますが、実際に致死的となってしまうことは多くはないので、まずは落ち着いてけいれんの様子を観察します。

数分以内にけいれんがおさまり、その後意識が回復するケースでは緊急性は高くありませんので落ち着いた状態となってから医療機関を受診すれば問題ありません。

ただし、けいれん発作が止まった後も意識が戻らない、あるいは次の全身けいれんに移行した、などという場合は緊急治療の適応がありますので、救急車を要請して下さい。

頻度は高くありませんが、けいれん発作後に呼吸と心拍が止まっていることが確認された場合(心肺停止状態)、救急車要請にあわせて心肺蘇生が必要です。

心臓マッサージを含めた一般的な心肺蘇生法を事前に確認しておくことも大切です。

また、けいれん発作中に「舌を噛まないように」と、口の中に布類を押し込むことが少なからずみられますが、これは窒息の危険性があり極めて危険な行為ですので決して行ってはいけません。

寝かせた状態で、軽く下顎を上に押し上げるだけでこれを回避することができます。

またけいれん後、意識が戻らないうちに嘔吐することがあります。

仰向けでの嘔吐は窒息の原因となり危険ですので、このような際は体を横に向け吐瀉物が戻っていかないように注意しましょう。

 

てんかんの方の運転について

てんかん患者の自動車運転が全面的に禁止されているわけではありません。

過去の発作の状況と、現在の治療反応性によって決まります。

ただし、運転の必要性があるからといって病状を正しく申告しないことは危険であるばかりか、万一の際に強く法的責任を問われることにもなります。

まずは主治医とよく相談し、運転の可否について検討してもらいましょう。

また、てんかん患者においては大型免許や第2種免許の取得は避け内服薬の飲み忘れがあるときも運転はしてはいけません。
 

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