熱性けいれんの原因や症状・前兆・予防と治療法

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熱性けいれんは生後6~60カ月の乳幼児期に起こる発作性の病気であり、日本では子供のおよそ8%にみられます。

通常は38℃以上の発熱に伴って、意識障害やけいれんを起こします。

熱性けいれんを起こした子供の半数近くが2回、3回と繰り返しますが、成長とともに自然と発作の回数が少なくなり、6歳くらいまでにはほとんど発作を起こさなくなると言われています。

髄膜炎など、明らかに発作の原因となる病気がある場合、てんかんの既往がある場合の意識障害やけいれんは、熱性けいれんとは言いません。

熱性けいれんの原因

熱性けいれんの原因として考えられるのは、発熱、年齢、遺伝です。

・年齢
発育途中の子供の脳細胞は未熟で熱に弱く、急な体温上昇で容易に意識障害やけいれんを起こしやすいと言われています。

・発熱
38℃以上の発熱、発熱してから24時間以内、熱の上り際に多く起こります。
「急に体温が上がる」ことが条件ですから、インフルエンザや突発性発疹など、子供に多い病気で高熱をきたすものはすべて熱性けいれんのきっかけになると考えられます。
ところが、病気によっては熱性けいれんを起こしやすいものと、起こしにくいものがあるのです。
理由は不明ですが、胃腸炎による発熱では熱性けいれんはあまり起こりません。
反対に熱性けいれんを起こしやすい病気として有名なのが突発性発疹です。
初発熱性けいれんの約3分の1が突発性発疹による発熱ですが、こちらも理由ははっきりと解明されていません。(乳幼児が初めて高熱を出す病気が突発性発疹だからという考え方もあります)

・遺伝(体質)
両親に熱性けいれんの既往がある子供は、そうでない子供と比べて2~3倍発作を起こしやすくなると言われており、遺伝的な要因も見逃せません。
また、保育園や託児所に通っている子供は、通っていない子供に比べて発熱する機会が多く、熱性けいれんの頻度が高いことも知られています。
どちらかというと男児に多い病気です。

 

熱性けいれんの前兆

発作前に一瞬ぼーっと一点を見つめることが多いです。

熱性けいれんを何度か経験した母親は、発熱と前兆で「来るかもしれない」と気付くことが多いと言われています。

 

熱性けいれんの症状

意識を失い、声をかけても反応しなくなります。

眼球が上転する(白目をむく)、口から泡を吹く、唇が青紫色(チアノーゼ)になる、吐く、失禁などがみられます。

また、体を固くして、手足をバタバタさせる「けいれん」を起こすこともあります。

けいれんはほとんどが左右対称ですが、まれに左右どちらかが強いことがあります。

発作が治まったあとにおかしな行動をすることもありますが(手をもぞもぞ動かしたり、ぶつぶつつぶやいたりなど)、一過性の行動なので心配ありません。

発作が起きたとき、周囲の人は慌てることと思います。

命が縮む思いでしょう。

しかし「どんな発作を起こしたか」は、その発作が熱性けいれんなのか、てんかんなど違う病気の兆候はないかの重要な手掛かりになります。

ぜひ発作を起こした時刻、治まった時刻を確認し、発作が治まったらどんな症状が現れたのかを書き止めておいてください。

また、舌をかまないよう割り箸やタオルをくわえさせたり、周りの人が指を突っ込んだり、抱きしめて落ち着かせたりしようとする行為は大変危険なので、絶対に行わないでください。

衣類を緩めるなどして、できるだけ落ち着いて様子を見ましょう。
 

熱性けいれんの予防方法

熱性けいれんの予防にはダイアップという座薬が使われます。

ダイアップ座薬は脳細胞の興奮を抑え、けいれんを起こりにくくします。

熱を下げる効果はなく、主にけいれんを防止する目的で使用されます。

使用方法は37.5℃以上で1個使用し、8時間後に解熱していなければもう1個使うというのが一般的です。

この方法で、1回目の座薬使用から24~30時間、発作を予防することができます。

眠っているときに発作を起こしたらどうしよう?と心配になる親は多いでしょう。

もちろん100%ではありませんが、上記のようなダイアップ座薬の効果が分かれば、少し安心できるのではないでしょうか。

ダイアップ座薬を使うと眠気やふらつきなどの副作用が現れるため、けがをさせないよう注意が必要です。

 

熱性けいれんの治療法

熱性けいれんの場合は、発作は短時間で収まるので治療は必要ありません。

熱性けいれんを繰り返し、かつけいれんを伴う場合は上記で説明したダイアップ座薬での予防をすることになります。
 

熱性けいれんを放置しておくとどうなるの

熱性けいれんは基本的には自然に落ち着くものであり、治療は必要としませんし、死亡したり、後遺症が残ったりすることはありません。

しかし、熱性けいれんを起こした子供のうち100人中5人前後は真性てんかんに移行すると言われています。

また、けいれんの時間が長かったとき(重積発作)は脳に損傷が残ることもあり、発作前後で転倒したり、けがをしたりということはあり得ます。

初発の熱性けいれんが起きたら必ず医療機関を受診し、相談しましょう。

その際、すぐに発作が治まったならば慌てなくとも大丈夫です。

けいれんが3分以上続いているなら、急いで救急車を呼びましょう。

-小児, けいれん

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