マラリアの感染経路
マラリアは熱帯・亜熱帯に生息するハマダラカに刺されることで感染します。
日本では主にアフリカ、東南アジア、オセアニア、中南米へ海外渡航中に感染し帰国後発症する経路のみが報告されており、日本国内のハマダラカによる感染の広がりは確認されていません。
マラリアの潜伏期間
約1~4週間
(症状が出るまで2週間前後のことが多いですが、1年を越すこともあると言われています。)
マラリアの症状
マラリアの原因であるマラリア原虫は4種類確認されており、それぞれに症状が異なります。
3大症状は、
・発熱
・貧血
・脾腫
ですが、一度感染したことがある人やマラリア原虫の種類によっては症状が軽い・はっきりしない場合もあります。
その他の症状は下記の通りです。
・発熱
(突然悪寒、震えと共に発熱するが、30分~数時間で回復する”熱発作”が周期的に現れます。熱帯熱マラリアは高熱が続きますが、その他の種類では2~3日感覚で熱発作が現れます。)
・頭痛
・吐き気、おう吐
・関節痛
・下痢、腹痛
重症熱帯熱マラリア
・脳症(意識の低下、せん妄、傾眠)
・尿が出ない(腎不全)
・呼吸困難(肺水腫)
・出血傾向
・黄疸
マラリアの治療方法
マラリア原虫は熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアに分けられます。
特に熱帯熱マラリアは症状が現れてから24時間以内に適切な治療を受けなければ、症状が急激に悪化し死の危険があります。
海外でも入国後7日目以降に症状が出た場合は、すぐに受診をしましょう。
受診後は、抗マラリア薬が処方されます。
使用薬剤に対して耐性を持つ、薬が効きにくいタイプが増えてきているため何種類かの抗マラリア薬を内服する場合もあります。
また熱帯熱マラリアには注射薬や座薬もあります。
・三日熱マラリアと卵形マラリア
これらのマラリア原虫は肝細胞内で休眠してしまうものが存在し、治療後数ヶ月経った後に活動し始め、マラリアが再発することがあります。
そのため再発予防に治療後2週間抗マラリア薬を内服します。
マラリアの予防方法
〇予防内服
マラリアに対するワクチン(予防接種)はありません。
しかし、抗マラリア薬を事前に内服しておく予防内服を行うことで発症を防ぎ、重症化を予防することが期待できます。
使用される薬は数種類存在し、感染を確実に予防できるわけではなく副作用もあるため、海外渡航の行き先や目的地での行動予定、基礎疾患などの有無などを医師に伝え、詳しい説明を受けたのちに処方してもらうようにしましょう。
〇蚊に刺されることを防ぐ
・長袖/長ズボンを着る(手足の露出、素足は避ける)
・虫除け剤の使用
*マラリア原虫を媒介するハマダラカは夜間に活動する蚊です。
夕暮れから明け方まで蚊に刺されない対策が必要です。
〇海外渡航先の流行状況と医療事情の確認
マラリアは発症後24時間以内に治療をしないと死に至る場合もあるため、海外で症状が出た時に備え、現地の病院について診療内容や場所などを事前に調べておくと良いでしょう。
現地の大使館や総領事館に医務官がいる場合は現地の医療事情や情報提供を受けることができます。
現地で連絡などがスムーズにできるよう、出発前に連絡先や所在地を確認しておきましょう。