エイズの感染経路と感染率
エイズ(後天性免疫不全症候群)はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染に伴い発症する、いわゆる性感染症のひとつです。
したがってHIV保有者の約8割がリスクの伴う性行為による性感染とされています。
HIVは血液、体液(精液や膣分泌液)、母乳などに含まれています。
基本的にはHIVを含んだ体液が傷口のない健常な皮膚に接触しても感染することはほぼありませんが、粘膜や傷口に触れると感染の可能性があります。
よって、リスクの伴う性行為というのは、主としてコンドームを用いない性行為、肛門を用いた性交、性器や肛門を直接舐める行為が挙げられます。
性行為以外には、医療事故や血液接触に伴う血液感染、母乳栄養に伴う母子感染などがあります。
この母子感染は10から30%程度の感染確率と考えられており、事前のエイズ検査が欠かせません。
世界では4000万人弱、日本においても3万人程度の感染者がいると見積もられていますが、単回あたりの性交渉での感染率は実はそれほど高くはありません。
ただし、出血を伴う傷口同士の接触や血液接触においては、高確率に感染し得ます。
普段からコンドームを用いたセーフセックスを心がけることと、パートナーとともにエイズ検査を受けておくことが重要な予防となります。
>>エイズ検査キット
エイズの初期症状
HIV感染後、約2~4週間ほどで発熱を伴う感冒様、またはインフルエンザ様の症状を認めます。
ただし、この早期症状が非常に軽症であることも多く、病院受診やHIV感染検査に至ることはあまりありません。
この急性期症状をいったん過ぎてしまうと、エイズとして発症するまでの間、無症候期というステージに入ります。
ここでは文字通り、日常生活において支障をきたすような目だった症状が発現しません。
ただし、この間も体内の免疫担当細胞は減少のプロセスをたどるので、他感染性疾患への罹患しやすさや、場合によっては繰り返す帯状疱疹を認めることなどもあります。
多くの症例で、この無症候期は5年から10年以上にわたって続きますが、一般的にこの間にもHIVの他者への感染力は維持されています。
>>エイズ検査キット
エイズの症状
血液中の免疫担当細胞がある一定まで減少してしまうと、明確な免疫不全状態となり、それに伴う種々の深刻な症状を呈します。
HIV感染後、この段階に至った場合をエイズ発症と考えています。
発症後、全身の強く継続する倦怠感、食生活の変動がないにも関わらず出現する過度な体重の減少、慢性下痢、頻回の帯状疱疹、強いめまい、体表いたるところでの皮疹・発疹、口内炎、繰り返す熱発、強い咳嗽などを呈します。
また、全身に脂漏性皮膚炎がみられるようになり、アトピー性皮膚炎や酒さ様の皮膚の強い炎症を自覚します。
多くのケースで、この皮膚炎を精査するために病院を受診し、検査の結果エイズが判明するということになります。
>>エイズ検査キット
エイズの検査方法
エイズ検査は、血液中のHIV抗体を測定する検査です。
HIV感染があってから早期は、このHIV抗体はみられませんので、ハイリスク性交渉など、感染を疑う事象が起こってから数ヶ月後の受診が好ましいとされています。
エイズの抗体検査は保健所などでは匿名・無料で検査を行うことができます。少しでも疑わしい場合は必ず検査をしておくことをお勧めします。
匿名で受けられるエイズ検査キットを次の項目で紹介しています。
エイズ検査キット
性病検査キットは自宅でカンタンに匿名受けることができます。
性病検査STDチェッカーは性病専門の検査キットで口コミもみることができます。
GME医学検査研究所は性病・がん検査キットを取り扱っています。
詳しくは各ホームページをご覧ください。
※健康保険証を使うといつ受診したのか自宅に受診記録が送られてきます。
これら2つの検査キットは匿名ですので家族やパートナーに知られることなく結果を知ることができます。
エイズの治療方法
本格的にエイズが発症し、免疫能が極端に下がってしまう前から抗HIV薬を定期的に内服することで、症状の進行を食い止めることができます。
近年ではHAARRTと呼ばれる多剤併用の抗ウイルス治療が行われています。
HIVを完全駆逐するに至るわけではありませんが、内服忘れなどなく継続できた場合の治療成績は非常に優れたものです。
エイズを放置しているとどうなるの?
免疫担当細胞であるCD4陽性のT細胞が減少すると、著しい免疫不全状態となり、ニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫、血液のがんである悪性リンパ腫、皮膚がんなどの悪性疾患を容易に発症します。
また、HIV感染細胞が中枢神経系へ進むと、HIV脳症と呼ばれる精神障害や強い認知症などを引き起こすこともあります。
エイズの放置は死に直結すると考えて間違いありません。
ただし、HIV感染後の無症候期であれば、治療薬の継続内服によってエイズ発症を抑え、健常者とほぼ同じ寿命を全うすることが、現代においてはできるようになりました。
エイズに関しては特に、予防と早期発見が重要とされているのはこのためです。