睡眠障害とは原因・症状・治療・何科で受診・もし放置していると…

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睡眠障害とは

1日の中で自然と調整されている”眠り”と”覚醒”のバランス(日内リズム)に問題が起きることです。

睡眠時間の長短だけではなく、睡眠の質やタイミングが原因で生活上心身に苦痛や問題が生じている状態を指します。

覚醒(かくせい):目がさめること
日内リズム(日周期・サーカディアンリズム): 体内で作り出される約24時間を周期とした睡眠と覚醒のリズムであり、血圧や体温の調整、成長ホルモンやメラトニンの分泌などに影響する

 

睡眠障害の原因

睡眠障害は様々なことが引き金となって起こる可能性があります。

身体的、生理的(環境)、心理的、精神疾患、薬剤性などが考えられます。

しかしそれらの影響がないにも関わらず発生する場合は、原発性不眠症と呼ばれています。

〇身体的要因
・痛み
・痒み
・咳
・喘息などの呼吸困難
・吐き気
・頻尿

〇生理的要因
・騒音
・室温・布団などが季節や体調に合っていない
・明かりをつけたまま寝る
・加齢(歳をとると自然と朝型になりやすく、睡眠時間は短くなる)
・肥満
・学習、遊び、仕事などによる昼夜逆転

〇心理的要因
・急性/慢性の強いストレス、不安
(虐待、いじめ、仕事や人間関係での悩み、進路、金銭問題など)
・家族や友人との死別、事故、病気など

〇精神疾患
・うつ病
・不安障害など神経症性障害

〇薬剤性
・インターフェロン、ステロイド
・寝酒やカフェインの過剰摂取
 

睡眠障害の症状

本人が眠りが足りないと強く感じる、または過剰な眠気や睡魔のため日常生活に支障が出ている状態が現れます。

睡眠時間が短いだけでは不眠とは呼ばれません。

〇原発性不眠症
明らかな原因がないが、入眠困難な不眠症を示します。
・明らかな原因がないにも関わらず、慢性的に眠りが足りないと感じ、不安、疲れが取れない、不安、注意散漫、うつ症状などを自覚します。
・慢性的な不調が続くことで、睡眠に対して過剰にこだわり、夜眠るための努力(日中無理に起きていないといけないと緊張が高まる)を行う傾向があります。
しかし眠ろうとすると緊張が高まり、眠りにつくことが難しい入眠困難が見られます。

〇ナルコプレシー
日中に耐えられない眠気に何度も襲われ、3ヶ月以上~何年も続きます。
睡眠発作、情動脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚という特徴的な症状が見られることがあり、日中に強い眠気があるにも関わらず夜間は不眠が見られます。

睡眠発作:突然襲われる眠気によって、数分から数十分眠り込んでしまいます。目覚めは良くスッキリしたと感じるが、2~3時間後には再び眠気に襲われるということが繰り返されます。

情動脱力発作:驚き、大笑い、怒りなどが引き金となり、全身もしくは腰・首・顎・頬・まぶたなどの一部に突然脱力が起きる発作です。瞬間的に治る場合から数十分続く場合もあり、突然崩れ落ちてしまうこともあり怪我に繋がる危険があります。脱力は短時間で完全に回復し、意識や呼吸に問題はないため、てんかんなどの病気とは全く異なります。

睡眠麻痺と入眠時幻覚:特に眠りに入る際に一時的に全身の脱力感が現れます。本人は目が覚めていると感じるのに、その際に体は全く動かせず声も出ない金縛りのような状態になります。その際に視覚的、体感的にも生々しく鮮明で現実感を伴った夢を見ることが多いです。襲われる、殺されそうになる、化け物などが現れるといった夢が多く、恐怖感が強いことが特徴になります。

〇睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に10秒以上の持続した呼吸の停止が繰り返し現れることで、睡眠が阻害され、夜間睡眠が十分に確保できないことで昼間に眠気や居眠りをしてしまいます。

・1時間に5回以上無呼吸が起こる
・睡眠中の激しいイビキ
・昼間の強い眠気、抑えきれず居眠りをしてしまう
・仕事や作業に支障が出る
・集中力、注意力が低下する
・全身がだるい、疲れが取れない
・朝起きた時、スッキリしない
・頭痛、口の渇き

〇反復性過眠症
数日または数十日間食事やトイレなど以外眠って過ごす状態が一定間隔で繰り返される状態を示します。
衝動性や攻撃性、過食などが見られることがあるが、眠り込む期間以外は心身ともに健康上問題が見られません。感染症や思春期のストレス、過労や生理周期が原因と考えらえれるが、明確な原因は不明であり、治療法もありません。

〇睡眠時に起こるその他の睡眠障害
・夢遊症/夜驚症
睡眠中に起き上がり歩き回るなどします。
受け答えはできることもあるが、単調ではっきり理解できないことも多く10分程度活動すると再び寝室に戻り寝ることが多いです。
突然恐怖感を含んだ叫び声をあげ、頻脈や不安を伴った状態が見られます。
本人はその時の行動や夢の内容について覚えていません。
部屋で排尿してしまったり、転倒による怪我など問題行動には安全対策が必要です。
いずれも幼児期から学童期に多く見られ、自然治癒することも多いが成人まで長く続く場合もあります。

・悪夢/REM睡眠行動障害
恐ろしいと感じる夢を度々見ることを示します。
夢の中での行動と一致した行動をとることもあります。
走り出したり、近くの人をたたいたりするなど行動障害が出ることもあります。
他者が目を醒まさせると起きた時に意識や認識などは正常で、夢の内容を思い出すことができることが多いです。

 

睡眠障害はどこの病院に行けばいい?

睡眠障害は日本人の5人に1人と言われています。

”眠れず辛い””日中の強い眠気や居眠りが続く”と感じる場合は専門家のいる病院を受診しましょう。

一般的には心療内科を受診します。

メンタルクリックや病院には睡眠障害専門外来がある病院も多くあり、睡眠医療センターと呼ばれる病院では専門的な検査や治療を受けることができます。

 

睡眠障害の治療方法

多くは外来治療となりますが、入院治療を行っている病院もあります。

年齢や個人の心身状況、睡眠障害のタイプ別に治療を行っていくため、自身の睡眠に対する悩みをできる限りわかりやすく伝えることが大切です。

生活習慣、仕事、眠れない・異常に眠くなる時の状況、いつから、どの程度続いているかなどが自分自身でわかるよう1週間程度、睡眠時間や活動状況の日記をつけると目に見えて伝えやすくなります。

激しいイビキや歯ぎしり、呼吸状態や睡眠時、睡眠前の行動などおかしな点がないか家族など周囲にも確認してみましょう。

・身体症状の治療
頻尿や病気による痛み・痒みなどが主な原因であれば、症状にあった治療が必要になります。
睡眠時無呼吸症候群は専用器具による治療や体重管理が必要になります。

・精神/神経疾患の有無
他の精神疾患が隠れていないかなど診察を受けます。
うつ病やパーキンソン病など他の疾患があればその病気に合わせた治療を受けます。

・光治療
睡眠障害の多くは日内リズムが崩れているため、そのリズムを戻すため起床数時間前に器具を使用して光を浴びる治療が行われます。
無痛ですが専用器具が必要なことと、実施タイミングなどがあるため入院治療で行われることが多くなります。

・認知行動療法
臨床心理士や看護師など専門のスタッフとの面談やグループワークを通して不眠が続いてしまう生活習慣や自身の行動や考え方を明らかにします。
誤りや問題を認識し、改善するための策を本人と考え、実践していきます。
原因をはっきりと認識することができ、自身が実践できる改善策を見つけ出すことで正しい安眠習慣が身につきやすく、再発率は低くなる傾向があります。

・薬物療法
睡眠薬と呼ばれる内服薬による治療は、寝付きが悪いのか、途中で起きてしまうのか、すぐに目が覚めてしまうのか、など不眠のタイプにより使い分けることが必要です。
また、効果が持続する時間が各々異なるため、朝や日中まで効果が残っていないか服用した後の症状に注意します。
眠れない不安や眠る前の緊張の高まりを抑えるための薬が処方されることもあります。
薬は多量に服用すると副作用が大きくなるため必ず、効果がない場合や強すぎる場合は自己判断で増量などは決してせず、治療方法や薬剤の変更を医師に相談しましょう。

生活習慣の改善
・睡眠時間に対してこだわり過ぎない。ぐっすり眠れたと目覚めが良い日を増やすことが大切。
・起床時間はずらさず、休日の寝溜めはしない。
・寝る前の寝酒やカフェイン、タバコはやめる。
・朝食をとる、朝日光を浴びるなど、1日の始まりを大切に。
・眠くなるまで寝室にはいかない。寝室でずっと過ごさない。
・運動や趣味をする時間を作り、睡眠対策の時間は楽しく過ごす。
・布団や寝室の気温や湿度を調整する。(季節によって掛けものを変える、洗濯して清潔を保つ、明かりは白色より暖色系に)

 

睡眠障害を放置していると

精神疾患や身体的な病気を引き起こします。

周囲から病気が理解されず誤解を招くことも多いため、理解されず日常生活、学業、仕事がうまくいかくなるとうつや不安障害となり人間関係、家族関係にも影響を及ぼしていきます。

頭痛、心不全、糖尿病、高血圧などにつながりやすいとされいることに加え、昼間や仕事中の強い眠気は判断ミスや注意散漫による事故も起こしやすくなります。

また、仕事・学習能率の低下、事故を招くこともあります。

睡眠障害は原因が明確でない場合も多く、慢性的に続いてしまうことが多くなります。

身体的な疲れが取れなくなり、日中の眠気は集中力・判断力の低下、注意散漫を招き、仕事のミスや事故、学習成績・能率の低下を招き、失職や交通事故などを引き起こす危険が高まります。

眠れない悩みから、さらに睡眠障害が悪化することがあります。
 

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