摂食障害とはその原因と症状と何科の病院でどんな治療するのか

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摂食障害とは

体重や体型への強いこだわり、痩せたいという強い願望を持ち、全く食事を受け付けない、異常な食べ過ぎやおう吐の繰り返し、下剤使用などの問題行動に加えうつや不安といった精神症状、時に命に関わる身体症状をも引き起こす重い食行動障害です。

 

原因

精神的要因、身体的要因、思春期~20歳代に特有な心理・社会的な要因が複雑に絡み合っています。

発症90%以上が女性と言われています。

脳の機能変化
脳の食べる・飲むと言った行動を認識・制御する機能(視床下部)に異常、神経伝達物質やニューロペプチドといった行動を調節する物質の変化が見られます。
これらによって食欲、食事量の判断やコントロールできなくなり、”食べない”、”食べられない”、”食べたら止まらない”といった行動異常が引き起こされます。

〇原因となり得る個人の特徴
・自己評価が低い(自己否定)
・思い込みが強い
・完璧主義
・他人と比較し自身の問題点にばかり目がいく(批判的)
・漠然とした強い不安がある

〇心理・社会的な要因
・幼少期に十分な愛情を得られなかったと感じている
・虐待を受けた経験
・親からの過剰な期待や指導
・家族や友人などとの関係において、食事や体型が大きな話題となった
・スポーツや職業上厳しい体重制限がある
・人より早い生理開始(早期初潮)
・仕事、人間関係、進路、恋愛など
・ダイエットや痩せていることに対する話題が常にあり、痩せると評価される

〇その他の影響
・うつ病
・薬物やアルコール
・遺伝的要因
 

症状

・全く食べ物を受け付けない神経性食思不振症(anorexia nervosa:AN)
・過食と体重増加を防ぐためのおう吐や下剤使用などを伴う②神経性過食症(bulimia nervosa:BN)があります。

拒食のみだけでなく、拒食とむちゃ食い(多量の食事を一度でとる)の後おう吐などをすることで食べ物を強制的に排出し、体重をコントロールしようとするタイプも見られます。

いずれのタイプも命に関わる合併症を起こしていないか注意が必要になります。

自覚、もしくは周囲が確認できる症状

〇神経性食思不振症(神経性やせ症とも呼ばれることがある)
・痩せたいという強い願望
・肥ることへの恐怖
・病気だという認識がない(病識がない)
・全く食事を食べない(拒食)、食事制限
・カロリーを消費しようと、過剰に運動する
・体重が異常に減少する
Body mass indexによる計算で17.5以下: BMI=[体重kg/(身長m×身長m)]
・生理の停止
・低体温(非常に寒がる)
・うぶ毛や体毛が増える
・歩行時の足の痛み
・低体温
・皮膚の乾燥
・食事を隠れて食べたり、盗み食いをしたりする
・むくみ

〇神経性過食症
・痩せたいとい願望(強くないこともある)
・病気だという認識がある
・体重は標準であることも多い
・食べない時と、食べる時の食事量が非常に大きい(絶食と過食)
・食事の後おう吐をする。下剤を多用
・手の甲に吐きダコができる
・生理が停止する、一定でないなど異常が起こる
・食事を隠れて食べたり、盗み食いをしたりする
・無気力や無関心が見られる
・自己否定的(特に過食後に自分を強く責め自傷行為をする)

全身の臓器に影響
絶食や多量の嘔吐により、口腔、心臓、呼吸、血液、消化器、筋力、腎臓、泌尿器、皮膚など全身の機能に異常や障害に影響が出ます。
貧血、白血球減少、脂質異常症、虫歯、脱水、骨粗鬆症などが引き起こされ、低ナトリウム・カリウム血症などの電解質バランスの崩れは心臓機能異常を引き起こし、時に命に関わることもあります。
食道破裂や胃穿孔(胃に穴があく)、突然死なども起こり得る可能性があります。
 

摂食障害はどこの病院に行けばいい?

精神科、メンタルクリニック、心療内科を受診しましょう。

摂食障害は、心身両面の治療が長く必要となる場合が多く、身体症状の改善だけでなく、精神症状への治療や援助も重要です。

病院は摂食障害治療の専門医師やカウンセラーなどの専門職がいる病院を選びましょう。

*専門職者による十分なサポートと、適切な対応が可能な”摂食障害治療センター”に厚生労働省が指定している病院が宮城県、千葉県、静岡県にあります。

 

治療方法

〇必ず治癒するが、心と身体の両面のケアが必要
摂食障害は、個人の精神的的特徴に加えて親や友人との関係、思春期における特徴的な心理、身体的な特徴が関わっていると考えられています。
特効薬などはなく、治療には本人の治療への前向きな意志と家族の協力が不可欠です。
食べること必要不可欠な行為を正常に戻すには「わかっているのに、やめられない」という側面に対して精神・行動・認知療法を行い、抗うつ薬などの薬物療法も過食と嘔吐の悪循環を断ち切るのに有効な治療となります。

〇病気と治療の必要性を受け止める
どんな治療が必要でどのように治っていくのか、治療することがなぜ必要か、誰が(病院)助けてくれるのかについて治療を受ける前に、本人、医師、家族が共に共通した認識と理解を得られるようにしましょう。
そうでなければ本人は治そうという気持ちを持たず、症状の悪化、家庭での不和や不適切な対応を招いていくことになります。

〇基本は外来治療。症状が重い場合は入院治療を行います。
・体重の減少が電解質異常や合併症などの重い症状を引き起こしており、命の危険につながる状態である場合
・抑うつ、不安、無気力などが強く、自殺の恐れがある場合
・暴力、引きこもり、不登校が起こるなど、家族や他者と社会生活が送れなくなっている場合
・異常な食事制限、おう吐、下剤の使用がやめられない場合

〇精神・認知・行動療法
専門家、親、本人が互いに理解しあい、心の問題が解決しなければ異常な食行動は改善しません。
本人の自身や食事に対する歪んでしまった認識を改善し、正しい食行動を本人が実行し維持できるよう家族は援助していきます。
家族ではなく、本人が身体と心の両面が解決するよう取り組まなければいけません。
治療中は体重増加への不安や、症状が良くならないことへの苛立ち不安が本人・家族ともに見られることが多いため、治療の中断や挫折が起こることも多くあります。
医師やカウンセラーなどに日常生活上の取り組みや問題、不安な気持ちを伝え、その時々に必要な適切な治療を受け、対処方法を考え直すことが必要です。
悪い部分だけを見ず、諦めずに前向きに取り組むようにしましょう。

〇薬物療法と必要に応じた身体症状の治療
特効薬は存在しませんが、過食やおう吐などの行動を抗うつ薬などの抗精神病薬で抑えたり、おう吐や拒食で生じた身体の不快症状薬などに対し、使用することがあります。
心臓や糖尿病、骨粗鬆症など重い障害に対しては適切な治療が必要になります。
 

摂食障害を放置していると

犯罪、自殺、を引き起こす危険が高まる
・神経性食思不振症は、徐々に身体症状が深刻な状態となり入退院を繰り返し、合併症、突然死などで死亡することがあります。
・うつ症状や不安などの精神症状が続くと、万引きや薬物乱用などの犯罪行為、自傷、自殺などを起こすことがあります。

慢性的に症状を持ち続ける場合や、軽快した後再発することもあります。

思春期の一時的なもので自然に治癒すると決めつけず、放置すれば心身の発達が阻害され治療が難しくなります。

社会への適応障害、骨粗鬆症や脳の萎縮、不妊など種々の健康障害が引き起こされ、事故や病気に早くつながる危険があることを知っておきましょう。

 

障害がある方の就労支援サービス

統合失調症・うつ病・発達障害・知的障害・身体障害など(他の病気でも構いません)障害があっても就職をあきらめないでください。
障がいのある方が就労に向けたトレーニングを行い、働くために必要な知識やスキルを習得し、就職後も職場に定着できるようサポートを行います。

 

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