甲状腺がんの原因と症状・検査方法と治療方法

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甲状腺がんの原因

甲状腺がんのリスクとしては、年齢、性別、放射線暴露が考えられています。

特に25歳~65歳の間のアジア人女性に多い病気となります。

海藻などをよく食べ、ヨードをしっかり摂取している地域では、特に甲状腺がんの発生が多くなります。

また、甲状腺腫や橋本病などの既往歴がある方、血縁者に甲状腺疾患もしくは甲状腺がんの人がいる場合にも、甲状腺がんになるリスクが高いとされています。

さらに、小児期に頭頸部に放射線を浴びた経験がある、もしくは原爆に被爆した経験があるという方も甲状腺がんになりやすく放射線に暴露してから5年程度で、甲状腺がんになった報告もあります。

 

甲状腺がんの症状

甲状腺がんのときに見られる症状には、甲状腺やその周囲のしこり(結節)や違和感、声帯を動かす反回神経の麻痺による声のかすれ(嗄声:させい)また、進行すると血痰が出たり、息苦しさ(呼吸困難)、飲み込みにくさ(嚥下困難)、のどの痛みを感じることがあります。
 

甲状腺がんの検査方法

検査は画像検査と組織検査があります。

画像では超音波(エコー)検査、CT、MRI検査があります。
・超音波検査
甲状腺の大きさや、内部にあるしこりの性質を観察し、周囲の臓器との位置関係やリンパ節への転移の有無を調べます。
音波なので人体に無害で、何度も行えます。

・CT、MRI検査
CTではX線を、MRIでは磁気を用いて体の内部を描き出し、周辺の臓器へのがんの広がりや転移の有無を調べます。
いろいろな角度から体内を連続的に撮影するため、詳しい情報を得ることが可能です。
ただし、MRI検査は時間がかかり、その間に呼吸の影響で甲状腺周辺部がぶれて画像がぼけてしまうことがあるため、甲状腺の検査では必要な場合にのみ行います。
造影剤を使用する場合は吐き気、発疹などの薬剤アレルギーが起こることがあります。
ヨードアレルギーなどの経験がある人はCTで造影剤が使えませんので、医師に申し出る必要があります。

組織検査は穿刺吸引細胞診というものを行います。

この検査では、どのような細胞からできているかを詳しく調べることが可能です。

甲状腺に細い注射針を刺し、しこりから直接細胞を吸い取り、顕微鏡で観察します。

しこりが良性であるか悪性(がん)であるかを判定するには最も優れた方法です。

多くの場合には超音波の画像を見ながら直接細胞を採取する方法で行われます。

・血液検査、腫瘍マーカー検査
甲状腺がんの検査は、病理診断や画像診断を組み合わせて行いますが、必要な場合は血液検査によって、甲状腺ホルモンや腫瘍マーカーも調べます。カルシトニンとCEAという項目を確認します。
しかし腫瘍マーカーは、がんになると必ず上昇するとは限らないため、単独でがんかどうかを確定できる検査ではありません。
甲状腺摘出後の経過観察の時、再発の有無を調べるために有用な検査と言えます。

 
 

甲状腺がんの治療方法

〇手術(外科療法)
甲状腺がんの手術では基本的に、甲状腺を切除することと、周囲のリンパ節も摘出する「リンパ節郭清」を行います。
甲状腺切除には以下のような種類があります。

・葉切除
がんの広がりを調べ、甲状腺を出来る限り温存する手術法です。
これは、日本で発展してきた考え方によるもので、術後の補助療法はなるべく行わないものとしています。

・甲状腺亜全摘手術
甲状腺を約2/3以上切除する手術ですが、基本的には術後に化学療法をしない方法です。

・甲状腺準全摘術
甲状腺をわずかに残して、ほぼすべてを摘出します。

・甲状腺全摘出術
甲状腺をすべて摘出します。
甲状腺にがんが残ることがなく、手術後には放射性ヨードを使った転移の治療や、精密検査が容易にできます。
一方、手術による合併症(副甲状腺機能低下、反回神経麻痺)が起こる確率が高く、生涯にわたって甲状腺ホルモン薬が必要な場合もあります。

〇抗がん剤(化学療法)
抗がん剤でがん細胞の増殖を抑え、破壊する治療法です。
全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
甲状腺がんの場合は、がんのタイプによって、適応されるかどうかが分かれます。
さらに、明らかな転移がある場合は、転移した部位に対し、局所的に抗がん剤治療を行うこともあります。

〇放射線療法
腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を照射する治療法です。
がんに侵された臓器の機能を温存することが出来ます。
また、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく高齢者にも適応できる、患者にやさしいがん治療法です。

〇免疫細胞療法
採血して免疫を担当する細胞を取り出し、体外で大量に数を増やし、機能を増強した上で体内に戻して行なう治療法です。
上記の治療法に対して、近年注目されており、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効とされる全身療法です。

〇陽子線治療
陽子線は水素の原子核を加速させたもので、一定の深さで止まるという性質をもっています。
この陽子線の「止まる」という性質を利用し、深さをコントロールすることで、がん細胞に集中的に放射線を照射します。
陽子線は止まる深さで最大限の力を出すため、がん細胞の周囲の臓器への影響を抑えることが可能です。
また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療となります。
1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
手術では取りきれない場合、手術を希望しない場合に行う方法となります

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