中耳炎の原因と症状と治療方法、もし放置していると…。

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中耳炎の原因

中耳炎には、いくつか種類があります。

今回は、その中でも発生することが比較的多い急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎の原因をご紹介します。

この3種類の中耳炎は、どれも耳の中耳の部分に炎症をきたすことで発生しますが、下記でそれぞれの原因をご説明します。

・急性中耳炎
中耳に細菌やウイルスが入ることで、中耳の粘膜に急激に炎症が起きることで発症します。
特に多いのが、風邪の後につづいておきる急性中耳炎です。
風邪で鼻に炎症がおきると、鼻と耳をつないでいる管を通じて耳も細菌に感染する可能性があります。
この中耳炎は幼い子供がかかることが多い中耳炎です。
生後間もない赤ちゃんは、お腹の中にいるときに母親からもらった免疫(細菌やウイルスに対抗する力)のお陰で細菌などには感染しにくい体質になっています。
しかし、母親からもらった免疫機能の効力は6~12ヶ月頃から次第に弱まるため、免疫機能が未熟で抵抗力が弱い生後6ヶ月~2歳位の年齢の子供が特に急性中耳炎を発症しやすいといわれています。
また、幼い子供は大人と比べると耳の構造が未完成で、もともと細菌が入りやすい状況にあることも中耳炎になりやすい原因の1つであると考えられています。

・滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は3歳~10歳位までの子供に発生しやすい中耳炎です。
この中耳炎は、耳のなかにある中耳腔という本来空気で満たされている小さな部屋
に体液(滲出液)が溜まることで発症します。この体液は耳の炎症が原因で発生するものですが、本来耳には細菌や耳の中にたまった空気などを鼻や喉の方向へ追い出す排泄機能が備わっています。
しかし、アレルギー性鼻炎やアデノイド増殖症といわれる鼻の奥の病気がある場合、喉の炎症が慢性的にある場合などには、耳が持っているこれらの排泄機能が低下してしまうことがあります。
その結果、耳の中に発生した体液を耳から鼻や喉の方へ排出することが出来なくなり、中耳腔の中に溜まってしましまい炎症を起こしてしまします。
また、急性中耳炎を治療しないまま放置していると、急性中耳炎の炎症が原因で発生した膿が中耳腔に溜まってしまい、滲出性中耳炎を発症する可能性が高くなります。

・慢性中耳炎
慢性中耳炎は、慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎の2つに分けられます。
慢性化膿性中耳炎は、急性中耳炎が治りきらないことで発症する可能性があります。
急性中耳炎では、一時的に鼓膜に小さい穴が開くことがあります。この鼓膜の穴が、いつまで経っても閉じない場合、穴を通して細菌が入り込み炎症を繰り返してしまうことがあります。
その結果、耳の炎症が慢性化してしまい慢性化膿性中耳炎を発症する可能性が高くなると考えられています。
真珠腫性中耳炎は、名前から腫瘍が出来ることで起こる中耳炎と誤解されることがありますが、腫瘍が原因で発生する中耳炎ではありません。
この中耳炎は、生まれつき鼓膜の皮膚が耳の奥に向かって袋状に入り込んでしまう体質がある人がかかりやすい病気です。
本来、耳垢は耳に備わっている排泄機能で自然と耳の外に排泄されますが、このような体質に人は袋状に鼓膜の皮膚が入り込んだ部分に耳垢がどんどん溜まっていってしまいます。
耳垢が溜まった袋は、耳の組織を破壊しながら進行していき中耳炎を発症させます。
真珠腫性中耳炎は生まれ持った体質だけではなく、鼻の病気や喉の炎症で耳に備わっている排泄機能が低下した場合にも発症する可能性があります。

 

中耳炎の症状

ズキズキする耳の痛みや熱が出ることがあります。

また、中耳に炎症が起きることで耳だれ(耳から膿などの分泌物が出る)、高度が高い場所に行ったときや飛行機に乗ったときのように耳が詰まった感じがするといった症状が出ることがあります。

特に小さい子供がかかると自分で詳細な症状を訴えることが出来ないので、いつもより機嫌が悪い、耳をよく触る、耳がむずがゆがるといった仕草をとることがあります。

また、鼓膜がうまく振動しないことで聞こえが悪くなり、呼びかけても反応しない、いつもより大きな声でおしゃべりをする、テレビの音が大きくなったといった症状が現れる場合があります。

中耳炎の中でも急性中耳炎では、炎症が激しいので痛みや熱を伴うことが多いですが滲出性中耳炎では炎症がそこまで強くないので、お熱や痛みを伴わないことがあり注意が必要です。

真珠腫性中耳炎では、初期はほとんど症状がないことが多く、難聴がひどくなってきたり、めまい、耳鳴りが起こるようになってきたというような症状で発見される場合もあります。

 

中耳炎の検査

鼓膜鏡や電子スコープといい、細いホースの先にカメラがついた機械を耳の中に入れることで、鼓膜の状態を映像で確認します。

また体液が貯留していないかをどうか等、中耳の状態を確認するため、耳の外から圧を加えて鼓膜の動きを検査するティンパノメトリーという検査を行うことがあります。

ティンパノメトリーは機械を耳の穴に密着させて行う検査で、耳に圧を加えるので飛行機に乗ったときのようなツンとした感じはありますが、数秒で終了する簡単な検査です。

この他にも耳の聞こえを確認するために高音から低音の聞こえを検査する聴力検査を実施することがあります。

さらに、耳の中の炎症の広がりや骨に異常がないかなどを確認するために、耳のレントゲン検査やCT検査を実施することもあります。
 

中耳炎の治療方法

まず、鼻の炎症が原因で中耳炎になっている場合には、病院で吸入薬の投与する等、鼻の処置を行います。

もし、まだ幼く自分で鼻水を排泄出来ない場合は、家でも専用の吸引器などを使って鼻水を吸引したりすることで鼻の症状を改善する治療を行います。

中耳炎については、症状が軽度の場合はほとんどは薬を使わなくても治癒する可能性が高いです。

症状が中等度以上の場合は、まずは抗生剤を内服したり耳から液体の薬を垂らす点耳薬を使用します。

また炎症を抑える薬、耳の中に溜まっている滲出液を排出しやすくするような薬を内服することで治療を行います。

もし抗生剤を投与しても耳の中の膿がなかなか無くならない場合や鼓膜が腫れていて痛みが強い、熱が高いなど症状が比較的重い場合には、抗菌薬を内服するだけではなく鼓膜を切開して膿を人工的に排出してあげることで中耳炎を治すようにします。

大抵、鼓膜は切開をしても1週間程度で穴が塞がるので1回の切開で足りない場合には、繰り返し切開することもあります。

もし抗生剤の投与や鼓膜切開を行っても症状が良くならない、もしくは症状を繰り返す場合は鼓膜にチューブを挿入する場合があります。

鼓膜チューブは炎症によって生じた膿などの浸出液をチューブの穴を通じて鼻や喉へ排出させる、本来耳管がもつ役割を代わりに果たしてくれます。

また、耳の中の空気も抜けやすくなり耳の聞こえが良くなることが期待できます。

ただし、耳の外から水が入ることは耳にとって良くないことなので、泳いだりする際には耳鼻科で専用の耳栓をもらうなどして耳の中に水が入り込まないようにする必要があります。

泳ぐことを許可されるかどうかは人によっても違うため、耳鼻科で医師に相談していくことが大切です。

なお、鼓膜チューブは数ヶ月から1年間ぐらいの間入れっぱなしにしておきます。

 

中耳炎を放置しておくとどうなるのか

急性中耳炎を放置していると、滲出性中耳炎に移行する可能性が高くなります。

特に慢性中耳炎のうち真珠腫性中耳炎については、周囲の骨を壊しながら進行するので、放置しておくとそれだけ耳の機能を失うことにつながりかねません。

一度壊れた組織は再生することがないので、早めに治療することが大切です。

また真珠腫性中耳炎の怖いところは、病気を放置していると神経にまで影響が及び、顔面神経麻痺や味覚障害を引き起こす可能性があることです。

さらに重傷になれば、頭蓋内にまでその影響が及び脳膿瘍や髄膜炎を発症してしまい、命に関わる深刻な事態をまねいてしまう可能性があるので特に注意が必要です。

また、どの中耳炎も放置することで聞こえが悪くなり難聴になる可能性があります。

特に、言葉を覚える幼少期に聞こえが悪くなってしまうと、言葉の発達にも遅れが出るてくる可能性があるので早めに治療に取り組むことが大切です。
 

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