人工肛門とは
人工肛門とは、腸の病気などにより切り取った部分の代わりに作られた『排泄の出口』のことを言います。
人工と書いてありますが、機械や器具をつけるのではなく自分の腸を直接お腹に出してきて作ったものです。
人工肛門は、増設部位、開口部の数、増設期間、機能によって様々な種類があります。
一時的に増設する場合もありますが、永久的人工肛門の場合は自己にてセルフケアを行なっていく必要があります。
永久的人工肛門増設した場合には『身体障害者福祉法』による補装具の給付、障害者基礎年金制度、地方自治体独自の補助などがあります。
各制度には認定基準があるので、活用方法を十分に理解することが大切です。
人工肛門の手術費用
手術費用に関しては病院や本人の病気の状態により多少は異なりますが、1割負担だと2~5万円、3割負担だと6~8万円と言われています。
日常生活での注意点
食事、入浴、仕事、運動など日常生活において気おつけたいことをいくつかまとめます。
・食事
特に食事制限などはありませんが、人工肛門増設後の急激な体重増加には注意が必要です。
肥満によって人工肛門の陥凹や腹壁の変化は、管理上支障をきたすことがあります。
※回腸人工肛門の場合は食物繊維などが開口部にひっかかって詰まりの原因になることがあるので、よく噛んで食べるなどの注意が必要です。
・排便の調節
人工肛門の増設位置によっては便の性状が異なりますが、1日1回排泄されるのが正常です。
人工肛門であっても、腸の動きなどにより便秘になることがあります。
また、ストーマの袋には防臭機能がありますが、完全に臭いを消すことはできないため、ガスの臭いが気になる場合は食事の工夫も必要になります。
ガスの臭いを抑える食品として、ヨーグルトや牛乳などの乳製品、納豆などがあります。
・入浴
基本的に人工肛門増設前と同様の入浴習慣で大丈夫です。
『装具が剥がれるかもしれない』『袋の中に水が入ったらどうしよう』などといった不安から入浴を躊躇してしまう方も多いですが、入浴シートなどを活用することで安心して入浴することができます。
排便が規則正しい場合は、装具を外して入浴することも可能です。
その場合、人工肛門部はよく泡だてて優しく洗うようにして下さい。
・運動
運動の開始時期は主治医の先生と相談して決めます。
ウォーキングや水泳など運動の内容によっては装具の安定性への影響もありますが特別な制限はありません。
・仕事
重労働の仕事などは仕事中の負荷によって装具が剥がれるリスクもあるので、皮膚保護剤の耐久性が高いものや、ストーマベルトが使えるものを選ぶと良いです。
また、職種や職場によってはトイレに行く時間を確保できないこともあるので、職場への理解を深めることも大切です。
・服装
人工肛門自体を圧迫したり、袋が塞がれたりすることがなければ特に制限はありません。