知らなきゃ怖い溶連菌感染症の原因と症状・感染するのか・予防・治療・潜伏期間・出席停止期間

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溶連菌感染症の原因

レンサ(連鎖)球菌は細菌の1種ですが、分類する際に溶血性と抗原性の違いで分けられます。

溶連菌は120種類以上存在し、感染する部位や菌の種類によって多彩な症状が現れ、病名も異なります。

病気を引き起こすものは溶血性であることがほとんどのため、溶血性レンサ球菌感染症=ようれんきん(溶連菌)などと呼ばれています。

最もよくみられるものはA群β溶連菌によって引き起こされる感染症であり、急性咽頭(扁桃炎)、猩紅熱(しょうこうねつ)、とびひ(伝染性膿痂疹)などがあります。

その他、劇症型A群レンサ球菌感染症やB群β溶連菌による新生児敗血症や髄膜炎などは重い症状を引き起こし命に関わることもあります。
 

溶連菌感染症の症状

発熱とのどの痛みが多い!症状の悪化に注意!

3歳以上~小学生の間に感染、発症することが最も多いのですが、大人でも感染し症状が現れることがあります。

溶連菌は多種多様なため、一度かかっても再度感染することがあり、違う種類の溶連菌であれば症状も異なります。

大人も含めて重症の症状に進行することがあるため注意が必要です。

〇急性咽頭炎(扁桃炎)
潜伏期間:2日~5日
・突然の発熱から始まる
・悪寒、頭痛、吐き気
・のどの痛み(食べ物、飲み物を飲み込む時に痛い)
・扁桃の腫れ
・首のリンパ節が腫れる

大人が感染した場合
のどよりも扁桃が炎症を起こしやすい傾向があり、気管支炎も多く見られます。
発熱などは軽度なことが多い。

〇猩紅熱(しょうこうねつ)
咽頭炎や扁桃炎の症状に加えて発赤毒素によって体全体に広がる発疹があらわれた状態
・発熱(高熱になることもある)
・首や胸に細かな赤い発疹が現れ、全身に広がる(全身が赤く見える)
・口の周りだけ白くなる(口囲蒼白)
・発熱後舌が赤くなり発疹ができる(苺舌)
・回復してくると、手足の先の皮がむける

大人など一度かかったことがある場合は症状が軽く、典型的な症状がすべて現れないことも多い。

〇とびひ(伝染性膿痂疹)
潜伏期間:7日~10日
水ぶくれ(膿が溜まる)ができ、破れるとかさぶたになっていきます。
痛みや痒みを伴うことが多く、ひっかいたり、掻きむしったりすると手についた菌から全身に広がっていくため、鼻周囲など顔から身体全身にまで水泡が見られます。

大人が感染した場合
主に顔面全体や頭の皮膚が赤くなり、むくんで皮膚が硬くなる丹毒(たんどく)や、皮膚の傷口から感染して蜂窩織炎(ほうかしきえん)と言う高熱、感染部位の強い腫れ、痛み、熱感を伴うものを発症することもあります。

*その他、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎なども溶連菌が原因で起こる症状の一つです。

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症状が治まってから現れる危険がある続発症に注意!
治療が不十分だった場合、リウマチ熱や糸球体腎炎など重い合併症が現れる危険があります。
症状が治まってから1週間~4週間は注意して、下記の症状が現れたら病院を受診しましょう。

・発熱
・関節の腫れ・痛み
・足や目の周りのむくみ
・血尿

*リウマチ熱は発症すると回復後数十年後に心臓に障害を起こす(リウマチ性心疾患)危険があり、糸球体腎炎は腎臓が障害され慢性腎不全になる可能性があります。

病状が急激に進行する劇症型には大人も注意
β溶血性レンサ球菌が原因として、急激に症状が進行し命に関わる重い病気に劇症型溶血性レンサ球菌感染症があります。
子どもから大人まで見られますが、30歳以上に多い傾向があります。
24時間以内に急激に症状が進行し多臓器不全などで死に至ることもあります。
明らかな兆候がない場合も多いため、家族内で感染者が出た場合や、周囲で流行している時は大人も注意が必要です。

気をつけたい症状
・身体の強い痛みが急激に現れる
・発熱や悪寒、筋肉痛なども急激に現れる
・錯乱状態(感情の抑えがきかず興奮状態)
・意識がもうろうとしている
・(傷がある場合)傷周囲の腫れ、痛み、発赤が強い
 

溶連菌は人から人に感染しますか

飛沫感染
唾液やくしゃみなどで飛び散った菌が口や鼻、目から体内に入り感染します。

接触感染
菌が付着した物や症状が出ている部位(水泡)を触り、それらが手を介して口や鼻、傷口から侵入することで感染します。

経口感染
菌が付着した食べ物、調理品を食べることで感染します。

最も感染しやすい時期は発熱がある期間です。

とびひの場合は、破れた水泡から感染が広がることが多く、接触感染が最も多くなります。プールの水を介しては感染しません。
 

溶連菌感染症の予防方法

手洗い、マスク、物の共有を避ける!

・手洗いはよく泡立て、指の間や爪、親指、手首、手の甲など汚れが落ちにくい部分も忘れずに。
流水でしっかり洗い流します。最後に水道の蛇口も洗い流します。
・マスクは鼻までしっかりと
・タオルや食器は共有しない
・虫刺されやアトピー性皮膚炎などの傷は菌が付着しやすいため、治療を早期に行なう
 

溶連菌感染症の治療方法

溶連菌は合併症や続発症などが起こる危険があることに加え、有効な薬(抗菌薬)があるため受診をして治療します。

内服には有効な抗生物質(抗菌薬)があります

溶連菌に有効なペニシリン系抗生物質を内服(飲み薬)します。

効果がある抗菌薬は数種類あるためアレルギーがある場合は他の種類に変更して治療します。

必ず薬は飲みきる!
抗菌薬は7~10日間処方されます。
飲み始めるとすぐに熱が下がり症状がマシになりますが、確実に除菌しなければ再発や続発症(リウマチ熱や糸球体腎炎)が起きる危険が高まります。
飲んでいる途中に症状が悪化した場合や、違う症状が出た場合は医師に相談し、自己判断で中断しないようにしましょう。

とびひ
・水泡が破けると感染が広がります。掻かない。爪を短く切る。
・清潔を保つ。シャワーを浴びる時は泡で優しく洗い流す。
・外用薬(塗り薬)で治療することがほとんどですが、症状が出ているのが広範囲であったり、症状が悪化した場合は内服や点滴が行われることも
あります。
・プールは消毒剤などが刺激となって症状が悪化したり、他の人と触れ合う可能性があるため症状が治りきるまで控えましょう。

発熱、のどの痛みがある時はのどごしの良い食事と水分補給
・柑橘系、味の濃いもの、ヨーグルトはのどにしみたり、痛みが強くなるため避けましょう。
・脂っこいもの(ポテトチップスやドーナツなど)も身体に負担になるので避けましょう。
・アイスクリーム、ゼリー、冷製スープ、たまご豆腐、にゅうめんやうどんにとろみをつける。
・食事が取れなくても水分はこまめに飲みましょう。(脱水を予防します)
*薬や水分が飲めない場合は医師に相談しましょう。

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溶連菌感染症の登園と出席停止期間

・保育園・幼稚園
厚生労働省が出している保育所における感染症対策ガイドラインでは出席停止となる疾患ではなく、登園の目安が示されているのみになります。
感染拡大を防ぐため登園許可証を求めたり、欠席期間を定めている園がほとんどです。
提出許可証など園独自の規定がないかなども、診断を受けた場合は園に確認するようにしましょう。
登園目安は抗生剤内服後24時間~48時間たっていることです。
熱が下がり、食事や水分が摂れるようになってから登園する方が良いでしょう。

・小学校
学校保健法(学校において予防すべき伝染病に関する規定)では出席停止期間が明記されていません。
しかし、流行期に欠席者が多くなったり、合併症が発生するなど状況によって学校長が学校医と相談の上、必要性を判断した場合は出席停止となる場合があるとされています。

-小児, 感染症

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