巨人症の特徴と寿命・検査方法・遺伝はするのか…

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巨人症の特徴

下垂体という臓器から分泌されるホルモンの一種、成長ホルモンの過剰な分泌によって引き起こされるのが巨人症です。

文字通り、成長ホルモンは身体の物理的な成長を促す働きがありますが、過剰に分泌されるようになると四肢の骨が必要量を超えて長くなり、同年代・同性の者と比べて著しく高身長、極端な発育を示すようになります。

各国によって巨人症の定義はまちまちと言えますが、日本人においては「同年齢同性の平均身長+標準偏差の3倍以上」がひとつの目安となります。

人口10万人あたり10人程度の患者数とされており、非常にまれな疾患のうちのひとつと言えます。

人間の骨は、骨の端にある軟骨の部分(骨端線)が伸び、骨に置き換わることでその長さを伸ばしていきますが、成長期を終え、ある年齢になると骨端線が閉じ、身体の物理的な成長を終えます。

したがって骨端線が閉じる前、特に二次性徴が現れる前に成長ホルモンの過剰分泌が行われるようになると、骨が長軸方向に著しく伸び、巨人症を呈するようになります。

骨端線閉鎖後の、つまり成人期における成長ホルモン過剰分泌は先端巨大症と呼ばれ、小児期の巨人症とは区別されています。

実際、骨端線閉鎖後から始まった成長ホルモン過剰分泌によっては、そこから骨の伸長(身長の増加)がみられることは基本的にありません。

また、巨人症はただ単に高身長を中心とした発育異常を示すばかりでなく、視覚の異常や脱力感、体毛の増加、皮膚の肥厚、さらに深刻な場合には心不全などの症状を示すこともあり、早期の診断と治療が必要となります。

さらに小児期における成長ホルモンの過剰分泌は、思春期の遅れや性器の発育不良を伴うこともあり、並存症状への十分な観察が欠かせません。
 

 巨人症は遺伝するの?

成長ホルモンが過剰に分泌されるようになる原因は、ほとんどの場合でいわゆる下垂体腫瘍によるものです。

名前は腫瘍とありますが、一般的には良性のできもので、がんとは区別されます。

したがって、巨人症は遺伝性疾患の一種としては分類されていません。

しかし、一部の多発性内分泌腫瘍症や家族性下垂体腺腫に伴う巨人症においては、非常にまれではありますが遺伝性がある場合もあります。

 

 巨人症の検査

小児の急激な成長はしばしばみられることですので、家庭や学校などで異常が確認されるのは遅れがちです。

しかし、一度巨人症が疑われ医療機関を受診することになると、その診断は非常に明白なもので、検査結果の解釈や診断に苦慮されるということはあまり一般的ではありません。

具体的な検査としては、まず各種の画像検査(頭部レントゲン写真による骨肥厚の確認、手指レントゲン写真による指先の骨肥厚と周辺組織の腫れ)、血液検査(成長ホルモン高値、インスリン様成長因子1の高値、血糖値の高値)を確認します。

ここで巨人症を疑われた場合は、診断を確定させるために成長ホルモンの血中濃度を抑える物質を投与し、正常な抑制作用が働かない(成長ホルモンの値が高いままにとどまり続ける)ことを確認します。

さらに脳下垂体の異常を調べるため、CTまたはMRIの検査を行うことになります。

先ほど述べたように、巨人症は発症早期に気付かれることは比較的まれですので、診断時点である程度の年数が経過していることになり、これらの検査では大半の患者において上記の腫瘍が見つかるということになります。

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巨人症の寿命

巨人症の原因そのものである脳下垂体腫瘍を、外科的な手術で取り除くことにより根治を期待することができます。

また、手術による根治ができなかった場合においても有効な薬物治療が確立されており、病気のコントロールは現在の医療水準で十分に対応できるものです。

長期予後について信頼できる数字は明らかではありませんが、治療介入済みの巨人症患者については、他の一般健常者と比較して、大きな寿命の損失はないと考えるのが自然です。

しかし、診断の機会を逃すなど、適切な治療を受けずに経過してしまった場合、長期に渡る成長ホルモンの過剰分泌は二型糖尿病や高血圧症、脂質代謝異常症などの慢性疾患を併発することとなり、さらにこれらの危険因子によって、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血などの重篤な疾患を起こす可能性が高まります。

また、一部の悪性腫瘍である大腸がんや甲状腺がんなどの発生率が高まることも報告されていますので、やはり疾患の早期発見・診断と適切な治療の継続が欠かせません。
 

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