ネフローゼ症候群の特徴は主にむくみなのですがその原因は様々あります。
症状が徐々に進行していくと体の異変に気付く人も多くなります。
目次
ネフローゼ症候群の原因
ネフローゼ症候群の原因は大きく2つに分けられ、腎臓に原因のあるものを「一次性ネフローゼ症候群」といい、そのほかの病気が原因となり引き起こされるものを「二次性ネフローゼ症候群」といいます。
一次性ネフローゼ症候群
・微小変化型ネフローゼ症候群
血液をろ過する糸球体に大きな変化がないのに、アレルギー(花粉症や喘息など)が原因で糸球体の血管から漏れ出すはずのないタンパクが出てきてしまう病気です。
・巣状分節性糸球体硬化症
糸球体の一部が硬く変形し、血液のろ過に障害を与えて血管からタンパクが漏れ出す病気です。
・膜性腎症
糸球体の血管の壁に沈着物がくっついてしまうことでタンパクが漏れ出す病気です。
・膜性増殖性糸球体腎炎
糸球体の血管の壁や血管と血管をつなぎ合わせている部分に炎症がみられ、正常に血液のろ過ができない病気です。
二次性ネフローゼ症候群
・糖尿病性腎症
糸球体の血管の外側の壁が厚く変化し、正常に血液のろ過ができず、腎臓の機能が低下します。
・膠原病
自分の臓器を攻撃したり、自分の体に対する抗体を作ってしまう自己免疫の異常による病気です。腎臓が攻撃され、腎臓の機能に障害を引き起こします。
・がん
がんの発症に伴って腎臓の機能が悪くなることがあります。
・薬剤
薬や健康食品などで腎臓の機能が障害されることがあります。
ネフローゼ症候群の症状
1番多くみられる症状がまぶたや足のむくみです。
他には体重が増えたり、食欲の低下、全身のだるさがみられます。尿の中にタンパクが増えると尿の泡立ちがみられることもあるようです。
ネフローゼ症候群の検査方法
・尿検査
尿に含まれるタンパクの量を調べます。1回分の尿を調べる場合と、24時間分の尿をためて調べる場合があります。
・血液検査
血液中に含まれるタンパクの量を調べます。他にも炎症の有無や自己免疫の異常がないかなどをみることができます。
・超音波検査(エコー)、CT
お腹に超音波を当ててモニターに内蔵の様子を写し出す超音波検査(エコー)や、X線や造影剤を使用して体の断面図をみることのできるCTを行い、腎臓の様子を調べます。
・腎生検
腎臓の一部を取り顕微鏡で検査をします。症状や治療の見通しを予測する目的で行われます。
ネフローゼ症候群の治療方法
・安静
腎臓の働きを安定させ、むくみやタンパク尿を改善する目的で安静にします。
・食事療法
むくみの原因となる塩分や水分の摂取量を制限した食事を摂ります。
以前は高たんぱくの食事がよいとされていましたが、腎臓に負担がかかるため低たんぱくの食事が一般的な治療食となります。
・薬物療法
副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤を投与し、症状の改善を図ります。むくみに対して利尿薬を使用して体にたまった水を排出します。
ただしステロイドの副作用には免疫力の低下、骨粗しょう症、糖尿病、血栓症、白内障、緑内障、高血圧などがあります。
免疫抑制剤の副作用には高血圧、糖尿病、神経障害、肝障害などがあります。
ネフローゼ症候群の症状が改善する反面、副作用には十分注意して薬剤を投与することが必要です。
ネフローゼ症候群を放置しておくとどうなるのか
はじめは、まぶたや足だけだったむくみが全身に広がり、お腹や肺に水がたまり息苦しさを感じるようになります。
そして、タンパク尿が出続けると腎臓の機能が悪化して腎不全となります。
腎不全になると自分で老廃物を排出することができないので、人工透析や腎移植が必要です。
人工透析にはシャントと呼ばれる動脈と静脈を合わせた血管を人工的に作り機械で血液をろ過する血液透析療法や、お腹に管を通して腹膜液を流し老廃物を染み出させる腹膜透析療法などがあります。