知らなきゃ怖いすべり症の症状と放置していると…

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すべり症の原因

背骨の中には、椎体間にある円盤状の軟骨でできた椎間板という板があります。

これは、上下の椎体を連結し、クッションの役割を果たしていると言われています。

この椎間板の変性と椎間関節の変形が進む過程で剪断力(ズレを起こす作用)が作用してすべり変性が生じます。

また、この剪断力は形態上前傾の強い下部の腰椎ほどかかるため、腰椎の4/5番目に好発すると言われています。

女性に多い理由(50〜60歳)としては、女性ホルモンの影響による骨粗鬆症が原因と考えられています。

 

すべり症の症状

すべり変形自体では症状はありませんが、二次的に起こるすべり変形部で脊柱管が狭窄することにより症状を呈します。

そのため、症状や臨床所見は腰部脊柱管狭窄症と同様です。

歩いていると、お尻から太ももやふくらはぎにかけて痛みやしびれが増強し歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになるという『間欠性跛行』が典型的な症状です。

このような症状は、台所での立ち仕事や仰向けで長時間寝ている時にも起こります。

腰の前傾(前かがみ)が強制される姿勢や動作によって起こる症状で、診察の時には腰を伸展すると同様の症状が誘発されることが多いです。

重症の場合には、筋力低下や深部腱反射の低下または消失、知覚が鈍くなるなどの神経脱落症状も出現します。

更には、会陰部の異常感覚、尿意切拍、尿失禁や便失禁などの膀胱直腸障害を呈します。

 

すべり症の検査方法

ほとんどがレントゲン撮影により確認されます。

脊柱管狭窄による神経の圧迫状態はMRI撮影にて評価できます。

また、CT撮影をすべり変性のほか骨構造の退行性変化の評価にも有用です。

画像診断と合わせて、間欠性跛行や神経症状の観察を行います。

脊髄造影下でのCT撮影を行うこともありますが、侵襲を伴う検査のため、手術を前提とした検査として位置づけられています。

これは、骨構造の馬尾神経や神経根の圧迫状態がより詳しく評価することができます。

 

すべり症の治療方法

主に保存療法を行います。

薬物療法で疼痛コントロールを図りますが、痛みが強い場合には神経根ブロックという注射を行うこともできます。

しびれと血流には関係性があると言われており、血行を良くする内服薬でしびれの改善を図ることもあります。

それでも神経症状が強い場合には、手術の適応もありますが神経除圧術ではなく脊椎固定術が一般的に行われます。

脊椎固定術は骨を削ることで神経の通り道を広げ、すべりを起こしている背骨のところを金属、または自分の骨を使って固定する手術になります。手

術後は、固定した部分が安定するまでは、ある程度の安静や体位の制限、コルセットの着用が必要になります。

 

すべり症の予後

すべり症を放置していると、神経圧迫の時間が長期になり、感覚障害が出現し日常生活に支障をきたします。

また、疼痛を我慢することによるストレス増強や、ADL(日常生活動作)の低下を招き寝たきりのきっかけになったりします。

手術以外にも治療法はありますので、早めの治療を心がけましょう。

 

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