パニック障害の原因と症状、なりやすい人とその対処・克服方法とは

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パニック障害には小さな症状から大きな症状まで様々あります。

さらにご自身がパニック障害を持っているのかわからない人もおられます。

そこでパニック障害の原因や症状、パニック障害になりやすい人とその対処方法をお伝えします。

パニック障害の症状

強い不安を感じて過呼吸などのパニック発作が起こる病気をパニック障害といいます。

「また同じような発作が起きるのではないか」と不安や恐怖に襲われ、日常生活に支障をきたすようになります。

不安発作の症状は次の5つの特徴があります。

1. 不安や恐怖
パニック障害では、「自分が自分でいられなくなってしまうのではないか」と恐怖を感じるようになります。
一度感じた不安や恐怖を忘れることができず、「また起こるのではないか」と予期不安が現れます。
発作が起きたシチュエーションや場所を避けるようになり(回避行動)、
「発作が起きたら他人に迷惑をかけてしまう」、「恥ずかしい」などを感じて(広場恐怖)、引きこもりになってしまうこともあります。
ある患者さんは、満員電車で発作が起きてしまったため、しばらく予期不安が強くて電車に乗れなくなってしまいました。
仕方なく車で移動するように工夫して対処していたようです。

2. 過呼吸や心拍数の増加
発作が起きているときは、呼吸が早くなったり心臓がドキドキします。
緊張によって呼吸数が多くなる状態を過呼吸といい、苦しいために浅くて早い呼吸を繰り返します。
この時に二酸化炭素を多く出しすぎて酸素と二酸化炭素のバランスが狂います。
さらに過呼吸によって二酸化炭素が多く排出され、血液がアルカリ性に傾くことで手足がしびれるように感じます。
(こんな時は二酸化炭素を体に取り込むのですがその方法がビニール袋を口に当てて自分がはいた息を再度吸うことで体は落ち着いてきます。)
過呼吸に加えて、心拍数が増えるため動悸や息切れを感じて「苦しくて死んでしまうのではないか」と切羽詰まった状態になります。

3. 吐き気や腹痛
パニック発作を思い出すと吐き気を感じたり、お腹が痛くなったりします。
ストレスを感じると胃がムカムカして、トイレに駆け込むことが多くなります。

4. 全身の震えや発汗
発作が起きそうになると、全身がガクガクと震えたり、手汗や冷や汗をかきます。
発作が起こる前兆で、足に力が入らなくなって、じわーっと汗がにじむように出てくることがあります。

5. めまいやふらつき
発作が起こるとめまいやふらつきを感じて、意識が遠のくような症状が現れます。
自分が自分でなくなるような体験であり、離人症状ともいいます。
発作が起きると、目の前が暗くなって倒れそうになることがあります。

 

パニック障害の原因

パニック障害の原因は、脳内の伝達物質の異常に加えて、遺伝的要因と環境的要因が影響しています。

脳にはたくさんの神経があり、神経と神経の間にノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質が放出されています。

神経伝達物質は恐怖や不安を感じることに関わっていて、バランスが崩れることでパニック障害を発症すると考えられています。

加えて、確実な原因ではないですが影響している要因は次のような特徴があります。

・親や兄弟など身内にパニック障害になった人がいる
・幼いときに両親が死別、離別した経験がある
・幼いときに厳しかったり、批判されたりして教育されてきた

などの遺伝的要因と環境的要因が複雑に重なり合って発症に影響しています。

パニック障害は、決して気の持ちようで治る病気ではなく、脳の病気であると言えます。

 

パニック障害になりやすい人

パニック障害になりやすい人の多くが、もともと不安や恐怖心が強い性格です。

石橋を叩いて渡るほど慎重で、不安を感じやすいタイプであれば、注意が必要です。

これ以外にも、幼いときから内気で人見知りの性格であったり、閉所や高所が苦手な性格、親から離れるのが不安だった性格が当てはまります。

傾向的に若い女性に多く発症します。

若い世代はストレスを上手くコントロールする方法がわからず、知らぬ間にストレスを溜め込んでしまうことも。

ストレスがピークに達したときに発症することもあって、遺伝的・環境的要因に関係なく誰もがなる可能性のある病気です。

 

パニック障害の対処・克服方法

パニック障害は、ゆっくり休んで、きちんと薬を飲むことで症状が改善します。

脳の神経伝達物質の異常はうつ病とよく似ているため、抗うつ剤が処方されます。

最近では、副作用の少ないお薬もが処方されています。

抗うつ剤は効果が現れるのに2〜3週間時間がかかります。

しばらくは薬をきちんと飲みながら、ゆっくり休むことをおすすめします。

抗うつ剤と併行して、不安発作の症状に合わせて薬を選んでいきます。

不安が強ければセパゾンやコンスタンなどの抗不安薬、眠れないようであればマイスリーなど睡眠薬、気持ち悪くて吐き気がするようであればタケプロンなどの胃薬を飲んでいきます。

症状が落ち着けば、少しずつ薬を減らしていきます。

そして、休養と薬物療法をしっかりと進めていきながら、自分のネガティブな考え方を克服していく「認知行動療法」を精神科の先生と一緒に進めていきます。

ストレスを溜め込みやすい性格であれば、自分の考え方に偏りがないか振り返っていきます。

考え方のクセがあるようであれば、物事をプラスに捉えられるように工夫していきます。

例えば、「挨拶した先輩が無視をした」ときあなたはどう感じますか?

「私なんて嫌われているんだ」、「嫌がらせをされているんだ」とマイナスなイメージを感じるようであれば、ストレスを感じやすいかもしれません。

ネガティブに捉えるのではなく、「もしかしたら聞こえなかったかもしれない」、「きっと忙しいんだ」、「後でもう一度声をかけてみよう」と切り替えられれば、ストレスを感じにくくなります。

考え方を変える以外にも、発作が起こる状況をもう一度見直して、認識にズレがないか確認していきます。

ある患者さんは、「満員電車は絶対発作が起きる」と決めつけて電車に乗るのを諦めていました。

一方的に認識していたことも、「各駅停車の電車だったら発作が起きないかもしれない」と発想を転換します。

次に行動を起こしてみて本当に発作が起きるどうか検証してみます。

一駅乗れたらもう一駅…とどんどん乗れる時間を増やしていき、数ヶ月で急行の電車に乗れるまでに回復できました。

もちろん、発作が起きたときのために頓服薬(抗不安薬や胃薬)をお守りがわりに持ち歩いて少しずつ自信をつけていきました。

確実に良くなっていく病気ですので、あなたもきっと良くなるときが訪れます。

もし、長くかかったとしても、落ち込む必要はありません。

遠回りしても、他の人にはできない経験をしているのですからあなたにとってプラスになっています。

パニック障害になった経験を活かして精神科の看護師として勤務している人もいます。

病気の渦中は、人生のどん底にいるような気持ちですが、乗り越えられた人にしか与えられない強さがあるはずです。

前向きに考えながら、パニック障害と向き合って克服していきましょう。

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