ノロウイルスに感染する原因・出席停止期間・潜伏期間・もし感染したら・予防、治療方法

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ノロウイルス

ノロウィルスに感染する原因

カリシウィルス科に属するノロウィルスが原因となり、下痢やおう吐などの症状を引き起こします。

ノロウィルスは貝類に蓄積されているため、それらを食べることにより症状が引き起こされますが、感染力が非常に強く、体内に入ったウィルスが少量でも発症するため感染した人から人へと感染が拡大しやすいのが大きな特徴です。

秋から春の流行期だけでなく1年を通じて発生し、子どもから大人、高齢者まで何度もかかります。

ノロウィルスの潜伏期間と症状

ノロウイルス

ノロウイルスの潜伏期間(感染してから症状が出るまで)は半日から2日。

突然の吐き気やおう吐、発熱、腹痛、下痢などの症状が出ます。

発熱は軽いことが多く、症状が出ないこともあります。

便は水のような下痢になっていきます。

おう吐、下痢の回数は多いと1日10回程度にもなることがあります。

脱水と誤嚥性(吐いた吐物が誤って肺に入る)肺炎などが起こりやすいため、幼児や高齢者は特に注意が必要です。

次の症状には注意
・尿が半日以上でない。明らかに尿量が少ない。尿の色が濃い。
・口が乾燥している。
・胸からゴロゴロと音が聞こえる。発熱が続く。

ノロウイルスの感染経路は?

①食べ物から
ノロウィルスが蓄積された貝類やノロウィルスが付着した食べ物を食べて感染

②感染した人から
ノロウィルスに感染した人の便やおう吐物を処理した時手指などについたウィルスが口に入り感染

*感染した人のおう吐物や便の処理が不十分だと、乾燥しウィルスを含んだ微粒子が埃などとともに舞い上がり、その微粒子を吸い込むことで感染することがあります。

③感染した人が作ったものを食べて(触って)感染
・ノロウィルスに感染した人が作った食事を食べて感染
・感染した人が使用した調理器具やノロウィルスが感染している食品を調理する過程で使用した調理器具などからさらに感染が広がることもあります

ノロに感染した時の治療方法

ノロウイルスの治療方法は安静と水分補給

ノロウィルスに対して特効薬など特別な薬はありません。

安静にし、吐き気や嘔吐が治まるまでは食事を控え、経口補水液やスポーツドリンクなどの水分はこまめに飲むようにしましょう。

成人であれば1日~2日で症状は改善しますが、乳幼児や高齢者などでは長引くこともあります。

薬は自己判断で飲まない
下痢やおう吐も体からウィルスを追い出そうとする正常の反応なため、下痢止めや吐き気止めは飲んではいけません。
整腸剤の処方や特に水分や食事が取れない場合などは点滴を受けることができます。

おう吐がある間、乳幼児や高齢者を寝かせるときは横向けに

上を向いた状態だと、おう吐をした際におう吐物が気道に入り、窒息や誤えん(誤って気管に入ってしまう)が起こる危険があります。

*意識障害があったり、腎臓の機能が低下、肺炎が起こるなど症状が重くなれば入院治療が必要になることもあります。

ノロウイルスの出席停止期間、登園(校)の目安

学校保健法や厚生労働省のガイドラインでは出席停止期間が定められていません。

しかし、集団発生しやすい特徴もあるため、学校や園などが必要と判断すれば出席停止となる感染症でもあります。

保育園などでは登園許可証などがなければ登園できないことがほとんどです。

診断を受ければ必ず指定の様式などがないかなども含めて園に確認するようにしましょう。

おう吐や下痢などの症状が治まり、水分や食事がいつも通り(園の食事が取れるぐらい)できるようになったことを目安にしましょう。

ノロウイルスの予防方法

最も大切!
①手洗いをこまめに、念入りに、意識して行う
指輪や時計は外しましょう。
爪やシワの間、手の甲や手首まで泡で十分に洗う。
洗い流しも十分に(15秒以上)。
ハンドルや手洗い石鹸のポンプなども洗いましょう。

・手洗のタイミング
帰宅後やトイレ後、調理前は必ず。
オムツ交換やおう吐物を処理した後は、何かに触れる前にまず手洗いを。
調理中や調理後も手洗いを忘れずに!手袋をしていても手洗いは必要です。

②食品は十分加熱する
調理をする際は、中までしっかりと熱を通します。
85℃以上で90秒以上加熱するとノロウィルスは感染力がなくなります。
幼児や高齢者の生食は控えるようにしましょう。
調理器具は洗剤で洗った後、次亜塩素酸ナトリウムを使用して拭き取りをするか、まな板や包丁など加熱が可能なものは85℃以上の熱湯で90秒間以上煮沸消毒します。

③塩素消毒液(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒
ノロウィルスは、ウィルスの中でも膜を持たない”ノンエンベロープウィルス”となるため、アルコール製剤による消毒はほとんど効果がありません
ノロウィルスは体内に入った量が少量(100個入っただけでも)でも症状が出てしまうことがあります。
おう吐物や便の中には1g中に100万から10億個といった大量のウィルスが含まれているため、正しい方法を知って、素早く、広範囲を消毒することが重要です!

次亜塩素酸ナトリウムを家庭で作る
・塩素系漂白剤を使用(台所用漂白剤は塩素系であることが多いですが、洗濯漂白剤は酵素系であることが多いため使えないので注意が必要です。ラベルを必ず確認しましょう)
・ペットボトル(500mlと2L)

おう吐した際や便の消毒用
500mlのペットボトルに、ペットボトルのキャップ2杯分(10ml)の漂白剤を入れ、水をいっぱいになるまで加えます。
作り置きはせず、乳幼児の手の届かないところに置いておきましょう。

トイレ掃除や調理器具、衣類などの消毒用
2Lのペットボトルにペットボトルキャップ2杯分(10ml)の漂白剤を入れ、水をいっぱいになるまで加えます。

おう吐物や便の処理
家にあるもので使い捨てられるものを使用しましょう。
・使い捨てマスク
・新聞紙や雑巾(捨てられるもの)
・使い捨てエプロン(なければゴミ袋をかぶりましょう)と手袋
・ペーパータオル
・スーパーの袋など

飛び散り範囲は半径2m以上!消毒は床だけでなく壁も忘れずに
①おう吐物や便をペーパータオルなどで外側から内側に静かに拭い取ります。
②拭き取ったものはすぐにビニール袋の中に次亜塩素酸ナトリウム消毒液を入れておくとさらに効果的。きつく口を縛って捨てます。
③床や壁を次亜塩素酸ナトリウムで拭き取り、水拭きをします。
浸した布や新聞紙で覆い10分ほどいておくと更に効果的。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させる作用や完全に乾燥していないと皮膚炎が起こる可能性があるため、水拭きは行いましょう。

*調理器具、トイレ周辺も次亜塩素酸ナトリウムを浸した雑巾やペーパータオルなどで拭き取り、30分ほどしたら水拭きをしましょう。
ドアノブ、スイッチ、レバー、ペーパーホルダーなども忘れずに。
*洗濯ものは必ず別にし、次亜塩素酸ナトリウムを入れた水の中で飛び散らないようもみ洗いしましょう。
*手洗い後のタオルなどは共有しない。
*布団やカーペットなど洗えない物はスチームアイロン(2分以上加熱)などを使って高熱にさらすと良いでしょう。布団乾燥機などは機種により温度設定なども異なるため、効果が不十分になる可能性があります。布団類は広範囲を消毒することは難しいため専門の業者に依頼することを検討しましょう。

ノロウイルスに感染したら、感染者が周りで出たら

健康診断

病院で伝えること
・いつから
・どんな症状が出たか(便やおう吐の回数や状態など)
・食べた食べ物や周囲での流行状況
・家族など(同じ食事をした人など)の状況

症状が治まった後も、症状がなくても注意
症状が治まった後も便からは約1ヶ月ウィルスが排出されます。
また、感染後おう吐などの症状が出ず発症しなかった場合(不顕性感染)でも、便などからはウィルスが排出されるため、普段から意識して手洗いなどを徹底する習慣が大切です。

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